最新記事
食事

死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?...男女による違いも判明【最新研究】

Scientists Reveal Best Diet for Reducing Death Risk in Older Adults

2024年9月1日(日)10時00分
ハッティ・ウィルモス
魚介類

adoproducciones-pixabay

<肉、魚、乳製品...。特に高齢者の健康にいいものとは?>

魚を含む食事は脳卒中、認知症、パーキンソン病などの神経疾患から高齢者を守る可能性があることをアメリカのロマ・リンダ大学(LLU)の研究者たちが発表した。

「ヴィーガン(完全採食主義)」や魚介類以外の動物性食品を摂らない「ペスカタリアン」を含める「ベジタリアン」と、「非ベジタリアン」もしくは「セミベジタリアン(準菜食主義)」のデータを比較した。

その結果、ベジタリアンの食事が長寿につながることや、「ペスカタリアン」の食事が特に85歳前後の高齢者に最も大きなメリットがあることが判明した。研究代表者のゲイリー・フレイザー教授は次のように述べる。

【関連動画】「ペスカタリアン」とは? を見る


 

「これは総じて、ベジタリアンの早死のリスクが非ベジタリアンよりも低いという明確なデータです」

アメリカとカナダで行われた被験者8万8400人のデータを分析したところ、2002年から2015年の調査期間中にベジタリアンのほうが非ベジタリアンに比べて死亡リスクが約12%低いことが判明した。

特に魚介類は摂っても肉を食べない「ペスカタリアン・ダイエット」を実践していた参加者は死亡リスクが18%低く、[肉と魚を摂らないが、乳製品と卵は摂る]伝統的なベジタリアンを実践していた人々の死亡リスクは15%減、そして完全採食主義(ヴィーガン)は3%未満の死亡リスク減少が見られた。

また、性別による違いも見られた。男性のヴィーガン(完全採食主義者)は非ベジタリアンの男性よりも良い結果を示したが、女性の場合は逆にヴィーガン(完全採食主義者)のほうが死亡リスクが高い傾向が見られた。

そして中年ではベジタリアンの食生活を続けることは有益だが、高齢者ではベジタリアンのほうが魚を食べる人々(ペスカタリアン)よりも脳卒中、認知症、パーキンソン病を発症するリスクが高いことも判明した。フレイザー教授は次のように述べる。

「80代のベジタリアンの神経疾患のリスク増加はさほど大きくはありませんでしたが、ベジタリアンの食事が晩年にも効果的であるかという点では無視はできません」

この結果は魚介類に含まれる、オメガ3(EPAやDHA)など高濃度の有益な脂肪酸に起因する可能性がある。実際にこれらの脂肪酸は脳に健康上の利益をもたらすことが示されている。

【参考文献】
Abris, G. P., Shavlik, D. J., Mathew, R. O., Butler, F. M., Oh, J., Sirirat, R., Sveen, L. E., Fraser, G. E. (2024). Cause-specific and all-cause mortalities in vegetarians compared with those in nonvegetarian participants from the Adventist Health Study-2 cohort, The American Journal of Clinical Nutrition (n/a)n/a.

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米経済「まちまち」、インフレ高すぎ 雇用に圧力=ミ

ワールド

EU通商担当、デミニミスの前倒し撤廃を提案 中国格

ビジネス

米NEC委員長、住宅価格対策を検討 政府閉鎖でGD

ビジネス

FRB責務へのリスク「おおむね均衡」、追加利下げ判
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 5
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 6
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 10
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中