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本当に大切なのは休肝日より「休脳日」...その二日酔い対策はむしろ危険!?

2024年5月10日(金)18時06分
吉本 尚(筑波大学准教授) *PRESIDENT Onlineからの転載

【ただひたすら待つしかない】

さらに言えば、飲んだ後しっかり睡眠をとればアルコールの分解速度が速くなると考えている人が多いと思いますが、実はその反対で、睡眠はアルコールの分解速度を和らげ、酔いから醒める速度を遅らせてしまいます。

時間が経過するという意味ではもちろん意味があるのですが、飲んだ後起きているのと眠るのとでは、眠るほうがアルコールの分解が進むというのは間違いです。

「たくさん飲んでも二日酔いにならない裏ワザが知りたい!」その気持ちはよくわかりますが、おいしく飲んで日々のパフォーマンス低下を招かないためにも、やはりおすすめは減酒なのです。

飲んでいったん体に入ってしまったアルコールは、体内で代謝が終わるまでは抜けません。待つしかないのです。運転や機械操作など、お酒が残った状態での勤務が禁じられている仕事の場合は、一気に信用を失ってしまいます。

【二日酔いは社会問題化していく】

また、たとえデスクワークで、二日酔いのつらさを我慢して出社しても午前は席に座っているだけでやっとでしょう。自分は普段通りに仕事をしているつもりでも、周囲にはバレバレかもしれません。

出勤しているにもかかわらず、「心身の健康上の問題」により十分にパフォーマンスが上がらない状態を「プレゼンティーズム(Presenteeism)」といい、近年、この状態にある従業員の生活改善に取り組む企業が増えています。

プレゼンティーズムによるパフォーマンス低下は個人の問題のみならず、会社全体の経済損失につながることが明らかだからです。二日酔いも、「心身の健康上の問題」の一つとして、これからもっと重要視されていくのではないでしょうか。

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吉本尚『減酒セラピー』(すばる舎)


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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