最新記事

ヘルス

一流の筋トレピープルはみんな食べている 鶏ササミより栄養価が優秀な「あの野菜」

2022年4月17日(日)13時08分
谷川俊平(「筋肉食堂」マネージャー) *PRESIDENT Onlineからの転載

ということは、「植物性タンパク質を食べても十分にタンパク質を生成できないのでは?」と思うかもしれないが、植物性タンパク質でも筋肉はつく。

いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。

たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している。

また、牛肉や豚肉は部位によって脂肪など余分なものも多いことがあるので、カロリー過多になりやすい。

一方、植物性タンパク質のなかでも、大豆や大豆加工品のアミノ酸スコアは100だ。しかし、豆類には糖質も多い。したがって、タンパク質はできるだけいろいろな食材からとるのが望ましい。

私自身も、動物性タンパク質と植物性タンパク質をとり交ぜながら摂取している。

そう考えると、大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか。

鶏肉でオススメなのはササミよりもムネ肉

最後に、トレーニーにとっての最強食材である鶏肉について補足しておこう。

昔から、ボディビルダーたちのあいだでは、「筋肉をつけたいなら鶏肉がベスト」と言われてきた。なぜなら鶏肉は、高タンパク・低カロリーのお手本のような食品だからである。

そんな鶏肉のなかでも特におすすめの部位は「ササミ」というのが定説だった。タンパク質の含有量は、ササミもムネ肉も100グラム中、約23グラムだが、ムネ肉は脂質が100グラム中、1.9グラムあるのに対し、ササミは0.8グラム。鶏肉のなかでも最も脂質が少ないのがササミだからだ。

ちなみに、モモ肉は鶏肉のなかで最も脂肪が多く、皮つき肉の脂質は19.1グラムになる(ただし、皮を取り除けば4.8グラムに減る)。

しかし、私はどちらかというと、ムネ肉を推奨している。その理由は、疲労回復に役立つ成分が含まれているからだ。

渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる。人間には到底、不可能な芸当だ。そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから。

このイミダペプチドは、われわれ人間の疲労回復にも威力を発揮することがわかっている。ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。

筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれるというわけだ。

筋肥大を目指すなら皮も食べたほうがいい

「食べる筋トレ。」また、鶏ムネ肉は牛肉や豚肉だけでなく、同じ鶏肉のササミやモモ肉と比べても、値段が安い。牛肉を毎日食べ続けるのは経済的に厳しいという人も、ムネ肉なら毎日食べることができるのではないだろうか。

なお、鶏ムネ肉は多くの場合、皮がついたまま売られている。この皮の正体はほとんど脂身なので、体を引き締めたいならば、包丁でとることをおすすめする。

一方、筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ。

鶏ムネ肉は塩コショウだけでも十分おいしいが、毎日食べていると飽きがくる。そんなときは「味変」で乗り切ろう。

私の働いている「筋肉食堂」では日替わりで鶏肉のソテーを提供しているが、あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。

梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい。

谷川俊平

「筋肉食堂」マネージャー
1983年大分県生まれ。福岡大学スポーツ科学部卒業。大学卒業後、アスリートや芸能人が数多く通うスポーツジム「TOTALWorkout」で、トップアスリートや歌手、俳優などのボディメイクを10年間担当する。数多くのクライアントと接するうち、体づくりには、食事の改善が欠かせないことに気づく。それがきっかけとなり、2015年、おいしい料理をお腹いっぱい食べて体づくりをする高タンパク・低カロリー食レストラン「筋肉食堂」をオープン。
FacebookTwitter


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑

ビジネス

NY外為市場=ドル指数落、利下げ期待で 円は軟化

ワールド

ハマス、ガザ休戦案受け入れ 「合意まだ」とイスラエ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中