最新記事

ダイエット

あなたはいくらエクササイズしても痩せない 脂肪燃焼は5%が限界、「運動したら痩せる」は科学的に大間違い

2021年11月23日(火)19時15分
ジェイソン・ファン(医学博士) *PRESIDENT Onlineからの転載
運動してもウエストが痩せなくて驚く女性

「こんなに沢山運動してるのに……」と思う人は多いが…… liza5450 - iStockphoto


運動を続ければ、ダイエットになるのだろうか。医学博士のジェイソン・ファン氏は「運動で燃やせる脂肪は5%が限界だ。食べた以上に動けばやせるというのは科学的に間違っている」という――。

※本稿は、ジェイソン・ファン著、多賀谷正子訳『トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

毎日4時間運動してもやせない理由

ピーター・アッティア医師は〈ニュートリション・サイエンス・イニシアティブ〉の共同設立者だ。この組織は、栄養や肥満の研究における科学的分析の質を向上させることを目的として設立された。数年前まで、彼は長距離を得意とする水泳選手で、ロサンゼルスからサンタカタリナ島まで、およそ40キロ泳ぎきった十数人のうちのひとりだった。

彼は、運動選手にとってはごく一般的な高炭水化物の食事を摂り、毎日3、4時間の練習を丹念に行っていた。それなのに、当時の彼は自分が最適だと思う体重を18キロオーバーし、BMIは29で体脂肪率は25%だったという。

だが、運動をしていれば体重が減るはずではないのか?

カロリーのバランスがとれていないこと――摂取カロリーの増加と消費カロリーの減少――が肥満になる原因だとされている。だから、私たちは、体重を減らすには運動が最も大切だと信じてきた。運動量を増やせば、摂り過ぎたカロリーを燃やせるはずだ、と。

「運動人口が増えても、太った人は減らない」統計データ

たしかに、運動するのは健康にいい。「医学の祖」といわれた古代ギリシャの医者、ヒポクラテスもこんなことを言っている。

「少な過ぎず多過ぎず、適度に栄養を摂り運動をすれば、私たちは間違いなく健康になれるだろう」

1950年代になると、心臓病への懸念が広がり始めたこともあって、身体活動や運動についての関心が高まり始めた。1955年には、アイゼンハワー大統領が〈青年の体力に関する大統領諮問委員会〉を設置。1966年には、アメリカ公衆衛生局が、「減量には運動量を増やすのが最も効果的」と提唱し始め、エアロビクスのスタジオが雨後の筍のように次々と開設されていった。

1977年にはジェイムズ・フィックスの『奇蹟のランニング』(クイックフォックス社)が大ベストセラーとなった。私が高校生だった1980年代の必読書といえば、ケネス・クーパー医師の『The New Aerobics(新しいエアロビクス)』だ。この頃、余暇に運動を取り入れる人が、どんどん増えていった。

運動をする人が増えたことで、肥満率は当然、減少するだろうと思われた。どこの国の政府も、減量のための運動を奨励するのに何百万ドルという資金をつぎ込み、国民を運動させることに成功していた。英国では、1977年から2008年までに、普段から運動する人の割合が、男性では32%から39%に増え、女性でも21%から29%に増えた(※1)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

東南アジア諸国、米高関税適用受け貿易交渉強化へ

ビジネス

カンタス航空、600万人情報流出でハッカーから接触

ワールド

豪首相、12日から訪中 中国はFTA見直しに言及

ビジネス

ドイツ輸出、5月は予想以上の減少 米国向けが2カ月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 5
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    米テキサス州洪水「大規模災害宣言」...被害の陰に「…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 10
    中国は台湾侵攻でロシアと連携する。習の一声でプー…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中