実話とは思えない...水深91mの海底からの救出劇『ラスト・ブレス』が描く「絶対に諦めない男」の狂気
In at the Deep End
飽和潜水の過酷さを正確に描写するため、キャストは水中撮影の中心地であるマルタ島で地元のダイビングスクールの協力を得て、世界トップクラスのトレーナーから特訓を受けた。
安全なスキューバダイビングの基本から、重くて動きが制限されるプロ潜水士用ヘルメットの複雑な操作まで、プロのダイバーの経験をなぞった。
「これまで海に行ったことがないかのような初歩から、飽和潜水士のレベルまで訓練を受けた」とコールは語る。「その間ずっと手取り足取りという感じだった。おかげで安心して潜っていられる。だから手違いが起きても慌てずに済んだ」
実際、撮影でリウの潜水中に突然機材が故障するトラブルが発生。「僕たちは潜水鐘のセットにいた。潜水士が水中に出るシーンで、実際にはすごく浅いプールで撮影していた」と、リウは言う。
「水に入った途端、酸素ボンベが何かに引っかかってしまった。撮影クルーがカットと叫ぶのが聞こえ、僕は浮かび上がることができなかった」
絆と信頼で乗り切った
リウはその話をするだけで「何とも言えない気分」になるという。安全確保の猛特訓を受けていたおかげですぐに動けるようになったが、危険な撮影だと改めて痛感した。キャスト全員への警鐘だったと、そばで見守っていたハレルソンは振り返る。「あのときは心底ぞっとしたよ」