医薬品メーカー、米国で350品目値上げ トランプ氏は値下げ圧力
米国旗と医薬品、REUTERS/Dado Ruvic
Michael Erman
[ニューヨーク 31日 ロイター] - ヘルスケア調査会社3アクシス・アドバイザーズのデータによると、トランプ米政権が値下げを迫るなか製薬メーカーは、新型コロナウィルス、RSウイルス、帯状疱疹のワクチンや、がん抑制薬イブランスなど350のブランド薬の米国での値上げを計画している。
2026年の値上げ品数は、250以上の医薬品の値上げ計画を発表した昨年より増加している。今年の値上げ幅の中央値は約4%で25年と同水準。薬局給付管理へのリベートやその他の割引は反映されていない。
一方で9品目程度の薬価引き下げも計画している。、ベーリンガーインゲルハイムは糖尿病治療薬ジャディアンスと関連薬3種を40%強引き下げる。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー(Eli Lilly )は、ジャルディアンスを共同で販売しているが、価格引き下げの理由についてコメントを求めたところ、すぐに回答は得られなかった。
ジャディアンスは、米政府が26年のメディケア(高齢者向け公的医療保険)向け薬価引き下げを交渉した10品目のひとつ。この交渉で薬価は3分の2に引き下げられた。
米国の患者は現在、処方薬に対して他の主要先進国の3倍近くの金額を払っており、トランプ大統領は医薬品メーカーに対し価格引き下げの圧力をかけてきており、製薬14社とはメディケイド(低所得者向け公的保険)向けなどの価格で合意した。
合意したファイザー 、サノフィ 、ベーリンガーインゲルハイム、ノバルティス 、GSKなども、1月1日から一部医薬品を値上げする予定だ。
インフレへの対応
ファイザーは、抗がん剤イブランス、片頭痛治療薬ナーテック、新型コロナウイルス感染症治療薬パキロビッドのほか、モルヒネやヒドロモルフォンなど病院で投与される医薬品など80種程度の値上げを発表した。
ファイザー社の値上げ幅は大半が10%以下だが、で比較的安価な病院向け医薬品の一部は4倍以上の値上げとなった 。
ファイザーは、革新的医薬品とワクチンの平均定価をインフレ率以下に調整したと声明で明らかにした。
GSKは、約20品目の医薬品とワクチンの価格を2%から8.9%引き上げる予定。同社は適正価格に努めているとし、値上げは科学的な革新を支援するために必要だとした。
1月は医薬品価格を改定することが慣例となっており、さらなる値上げや値下げが見込まれている。
3アクシスは、業界の関連グループと協力して、薬価とサプライチェーンの問題に取り組むコンサルティング会社。





