「どうやって破産するのか?」──俳優ジョン・ハムが演じる、壊れゆくアメリカンドリームの現実
Buying the American Dream

自分の地位を築いてきたと自負するハムは作品とスタッフとの出会いに感謝している JON KOPALOFF/GETTY IMAGES FOR PARAMOUNT+
<最新作で成功した男たちの「闇」を演じるジョン・ハムへのインタビュー。金融マン役も「この役は本当に私に合ってる」>
秘密を抱えた裕福な男を演じさせたらジョン・ハムの右に出る者はいない。
人気ドラマシリーズ『マッドメン』の敏腕広告マン、ドン・ドレイパーに始まり、アップルTVプラスの新作ドラマ『ユア・フレンズ&ネイバーズ』では豪華な生活を死守するために犯罪に走る金融マン、アンドリュー・クーパーを演じる。
「自分で言うのも何だが、この役は本当に私に合ってる」とハムは笑う。
「テーマは異常な富。後期資本主義と蔓延する物質主義。なぜ私たちは、より多くの物を所有しているという物差しで自分を他人と比較するのか」
クーパーのように「30万ドルの住宅ローンを抱えている状況に誰もが共感できるわけではない」が、「自分の過失ではない理由で職を失うことは、確かに人々の心に響くだろう」。
『マッドメン』、エミー賞同時ノミネートの『ザ・モーニングショー』(テクノロジー業界の億万長者役)と『ファーゴ』(悪徳保安官役)、『ランドマン』(石油富豪役)を経て「自分の地位を築いた」と自信を見せる一方で、尊敬する人たちと働けることは「幸運だ」と感謝する。
「彼らと働くことは素晴らしい贈り物だ」。本誌H・アラン・スコットが聞いた。
──今回の物語のどこに引かれたのか。
制作者であるジョナサン・トロッパーの作品は、テレビや映画の脚本だけでなく小説も好きだった。彼と会い、この世界観のアイデアを聞いた。「こんなことが起き、この男がこんな方法で生計を立てなければならないなら?」
良いアイデアで、楽しくて魅力的だと思ったが、物語としてもっと深く掘り下げて、2025年の今、私たちの社会がどこにいるかということも描けるだろうと考えた。