米5月求人件数、37.4万件増 関税の先行き不透明感から採用は減

米労働省が1日発表した5月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は37万4000件増の776万9000件だった。写真は2021年12月、マサチューセッツ州ボストンで撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
Lucia Mutikani
[ワシントン 1日 ロイター] - 米労働省が1日発表した5月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は37万4000件増の776万9000件だった。予想外に増加したものの、採用は減少傾向にあり、トランプ大統領が設定した「相互関税」上乗せ分の一時停止期限が7月9日に迫る中、労働市場が減速に転じた兆候が強まった。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は730万件だった。
エコノミストらは、予想外の増加についておおむね否定的な見方を示し、増加の大部分がレジャー・接客業に集中していると指摘した。ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「消費者の購買意欲の低下兆候が高まる中、新規就労者に対する根本的な需要は低下し続けていると考えている」と述べた。
業種別では、宿泊・飲食サービスが31万4000件と大きく増加したほか、金融・保険業も9万1000件増加。運輸・倉庫・公益事業、医療・社会福祉業が6万件、それぞれ増加した。一方、米政権による採用凍結の影響から、連邦政府の求人件数は3万9000件減少した。
採用数は11万2000件減の550万3000件。減少は医療・社会福祉、製造業、専門・ビジネスサービス部門に集中した。一方、宿泊・飲食サービス業では10万7000件増加した。
採用率は3.4%と、前月の3.5%から低下した。
5月の求人率は4.6%と、前月の4.4%から上昇した。失業者1人あたりの求人数は1.07件と、前月の1.03件から増加した。
解雇数は18万8000件減の160万1000件となった。専門・ビジネスサービス部門、金融サービス、医療・社会福祉の各分野でレイオフが大幅に減少した一方、小売業では増加した。解雇率は前月の1.1%から1.0%に低下した。
エコノミストらは、「相互関税」上乗せ分の一時停止期限となる7月9日以降の見通しが不透明なことから、企業は長期的な計画を立てられないと指摘している。