最新記事
K-POP

NewJeansはNewJeansじゃなくなる? 5人と生みの親ミン・ヒジンの今後の選択肢を予想

2024年11月27日(水)07時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

契約解除の違約金は約700億円に

こう考えるとNewJeansのメンバーたちは、ADORが自分たちと交わした専属契約について重大な違反事項を改善しなかったとして、契約解除を求めて訴訟を起こす道しか残されていない状況だ。

ここで重要なポイントは
1)NewJeansの「専属契約に関してADORが重大な違反をした」という訴えを裁判所が認めるか
2)NewJeansメンバーが今後もNewJeansとして活動できるか
という点に絞られる。

ここで、韓国の音楽業界関係者が参考事例として口を揃えてあげるのが「FIFTY FIFTY」だ。奇しくもNewJeansと同じ2022年にデビューした4人組ガールズグループFIFTY FIFTYは、2023年2月にリリースした「Cupid」がブレイク。ビルボードの「ワールドデジタルソングセールス」で8位を記録したほか、大手以外の事務所のK-POPアーティストとしては初めてHOT 100にもチャートインするなど、一躍注目される存在になった。


 

ところが、所属事務所ATTRAKTが音楽制作の実務を依頼していた会社がメンバーとともに独立を図り、専属契約解除を求める訴訟を起こしたものの敗訴。メンバーのうち一人だけが和解して所属事務所に復帰したものの、他のメンバーは契約を解除され、事務所から損害賠償請求の訴訟を起こされた。現在FIFTY FIFTYは復帰したメンバーに新加入したメンバーで再編成して活動を再開し、一方独立を目指したメンバー3人は新しい事務所と契約して新グループ結成を発表している。

このFIFTY FIFTYの事例を念頭にNewJeansの契約解除要求が認められるかどうかを考えると、韓国の音楽業界関係者の多くはかなりハードルが高いという意見で一致しているという。もちろん、HYBE傘下の別レーベルから、まったく同じようなコンセプトのガールズグループILLITがデビューしたことや、ILLITのマネージャーによるハニに対するいじめ問題など、NewJeansへのサポートが不十分だった点はあると認定される可能性もあるが、それが契約違反といえるほどのものかというと、難しいと言わざるを得ない。

その場合、メンバーたちは専属契約効力停止仮処分申請を裁判所に願い出るとみられている。ただ契約解除自体は認められるとしても、ADORへの違約金の支払が命じられる可能性が高い。その金額は一人当たり1240億ウォン、日本円で136億円にのぼり、グループ5人全員では6200億ウォン、約700億円という巨額になるという。

NewJeansメンバーたちに残された選択肢は?

果たして、今後のNewJeansメンバーたちにどんな選択肢が残されているのだろうか? 大きく分けて以下の2つのパターンが考えられる。

A)全員が契約解除の違約金を払ってADORを離れミン・ヒジンの新レーベルへ移籍、新グループで再デビュー
B)一部メンバーがADORに残りNewJeansとして活動、残るメンバーはミン・ヒジンの新レーベルへ

ポイントはメンバー5人の結束が維持されるかどうかだ。本人たちの意思も重要だが、未成年者もいるため親の意向も重要なポイントとなる。これまでは5人とその母親たちもミン・ヒジンを支持し、HYBEを批判してきたが、ADORへの違約金の支払いが巨額なため、5人全員の結束が維持できるかどうかは不透明だ。また、その点をHYBE側が突いて、メンバー同士の切り崩しにかかることも十分に予想される。

一部メンバーが残留することになれば、B)のような形でADORは残留メンバー+新加入メンバーで第2期NewJeansを再始動させ、ADORを契約解除したメンバーはミン・ヒジンと合流して新グループを結成、そちらで再デビューを果たすという、まさにFIFTY FIFTYと同じ道を歩むことになりそうだ。

展覧会
「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ停戦合意至らす トランプ氏「非

ワールド

アングル:欧州への不法移民20%減少、対策強化でも

ワールド

トランプ氏「今すぐ検討必要ない」、中国への2次関税

ワールド

プーチン氏との会談は「10点満点」、トランプ大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 7
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中