最新記事

世界に挑戦する日本人20

世界は「届かないとは思わない」YOSHIKIが語る日本エンタメ界の現在地と、LAで挑戦を続ける訳

2022年9月2日(金)13時15分
YOSHIKI(アーティスト)

YOSHIKI自身は今後も日本ではなく、世界を舞台にチャレンジし続けるという。

「自分の中には、階段を下りるとか、立ち止まるというチョイス(選択肢)がそもそもない。立ち止まる、イコール、自分は死ぬときじゃないか、とさえ思っている。

もちろん人間なので、休みたいと思うこともありますよ。やはりハリウッドにいると、いろんな意味でずたずたにされる瞬間はある。ただそれに対して、駄目だと思うか、もしくはさらに前に進もうと思うか。自分は前に進もうという選択をして、それを今もし続けている」

その挑戦は、自分のためにやっているのか、それとも誰かのために......?

「たぶん、同じくらいだと思う。どこまでが自分の人生で、どこまでがみんなの人生を背負っているのかも分からなくなってしまっているし(笑)。でももし、人のために生きられるなら、それって素晴らしいことじゃないですか。

自分だけのために生きるというチョイスが、自分にはあまりないかもしれない。自分の喜びは何か、というのがよく分からないんですよね。

悲しみは、父親を亡くしたとき、メンバーを亡くしたときにどん底まで味わっているので、分かる。瞬間的な喜びは、コンサートをやったときとか、ファンの皆さんに会えたときにすごくあるのだけれど、自分自身の本当の喜びって何なのだろう、と。

一時期、例えば車とか、フェラーリなどをたくさん持っていた時期もあるけれど、そういう物質的なもので人はそんなに幸福にはならないんじゃないかなと思っている。

それよりも誰かに喜んでもらう、自分の存在によって誰かを救えたとか、救われたとか言われた瞬間は、ああ、じゃあ生きていて良かった、頑張ったかいがあったんだなと。その喜びのほうが、断然大きいですよね。そういうものに、僕は生かされている」

現在、YOSHIKIは日本テレビとタッグを組んで、日本から海外へ向かうボーイズグループを発掘するオーディションを行っている。世界のエンターテインメント界では、韓国勢の躍進が著しい。

「日本は少し、おとなしすぎるようにも思う。素晴らしいアーティストはたくさんいると思うので、やはり日本の方たちにもパワーを持ってほしい。自分が日本の出身だからというわけではなく、日本には才能の塊があると思っている。もっと世界に出て行けるんじゃないかと思う気持ちは強い。

日本は、国内で成功するとある程度成り立ってしまう。海外に挑戦しようと思うマネジメント体質があるかどうかもそうだが、海外に出て行かなくてもいいような、スターとしての生活ができてしまうというのが一つある。

だがアーティストというのは、アーティストだけに影響を与えるものではない。やっぱりKポップは、僕はすごいと思う。あそこまで成功して、韓国という国自体にも勢いを感じさせるイメージを与えている。韓国は映画もすごいし、Kポップの活躍はアジア全体への注目をさらに集めて、世界の人たちが目を向けるきっかけをつくったと思う。

その意味では、日本のアニメなどもアジアや日本のプレゼンスを高める要素になってきた。日本のアニメが好きだから、日本のことも好きになってくれる。そういうソフトパワーがある。

日本にはかつて、ウォークマンを開発した頃のソニーさんとか、トヨタさんとか、世界に出て行くパワーがある時代があった。僕がやっているオーディションプロジェクトがソフトパワーに直球でつながるわけではないにしても、ある種、活性化したいというか、僕が外で学んでいるものを少しでも皆さんに伝えることができれば、背中を押せれば、という感覚ではある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない

ビジネス

米国株式市場=続落、ダウ453ドル安 原油高と雇用
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 7
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 10
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中