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イスラエル、シリア首都を空爆 米「戦闘まもなく停止」と表明

2025年07月17日(木)05時12分

イスラエル軍は16日、シリアの首都ダマスカスにある国防省の建物を空爆した。写真はダマスカスで同日撮影(2025年 ロイター/Khalil Ashawi)

[エルサレム/ダマスカス 16日 ロイター] - イスラエル軍は16日、シリアの首都ダマスカスに対する空爆を実施し、国防省の建物の一部を破壊したほか、大統領府付近も攻撃した。シリア南部のスワイダ県では少数派イスラム教ドルーズ派と政府部隊の衝突が再燃。ドルーズ派の住民を保護するイスラエルは政府部隊を撃滅すると表明し、撤退を要求した。

イスラエルはシリアのシャラア暫定大統領が率いる政権を「偽装したジハード主義者」と呼び、同政権が南部シリアに軍を展開することは容認しないと表明。シャラア氏と米国との関係改善が進む中、今回の攻撃はイスラエルによる大幅なエスカレーションとなる。

こうした中、米国は戦闘はまもなく停止すると表明。ルビオ国務長官は「われわれはシリアでの衝突に関与する全ての当事者と協議し、この状況を今夜終結させる具体的な措置で合意した」とソーシャルメディアに投稿した。

ロイターが入手した書簡によると、シリアは紛争解決への取り組みを歓迎するとし、国連安全保障理事会に対しイスラエルの「侵略行為」に対処するよう求めた。

外交筋によると、国連安保理はイスラエルによるシリアに対する攻撃を受け、17日に会合を開く。

イスラエル軍当局者は、シリア軍がドゥルーズ派に対する攻撃を阻止しておらず、問題を解決するどころか、むしろ問題の一部となっていると非難。イスラエルはシリアにおけるドゥルーズ派の虐殺を許さないとし、「明確なメッセージを送るため、ダマスカスにある軍司令部入口を攻撃した」と明らかにした。

また、イスラエルとの国境近辺のシリア南部での軍事力増強を認めないと強調した。

この日の攻撃では、イスラエル軍の戦闘機がダマスカス上空を低空飛行し、一連の大規模攻撃を実施。現地の医療関係者によると、国防省の建物への攻撃で治安部隊の隊員5人が死亡した。

ドルーズ派住民が多数を占めるシリア南部スワイダでは13日に宗派間の衝突が発生。衝突したのはドルーズ派の民兵とベドウィン部族の戦闘員だったが、事態の収拾を図るため14日に現地に派遣された政府部隊が最終的にドルーズ派の民兵と衝突する形になった。

イスラエルはドルーズ派を保護するため、14─15日にシリア政府部隊を空爆。16日になり停戦が発表されたものの、その後衝突が再燃。シリア政府は、スワイダの非合法グループが停戦を破ったと非難した。

シリア人権ネットワークによると、衝突によりこれまでに169人が死亡。治安関係者は300人が死亡したとしている。ロイターは死者数を独自に確認できていない。

ロイター
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