最新記事

コミック

韓国ウェブトゥーン、映像化で世界へ進出 Netflixでヒット「梨泰院クラス」など原作から配給までワンストップで生み出す

2020年4月22日(水)12時24分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

『太陽の末裔』『トッケビ』の監督の新作もウェブトゥーン原作

これまでは、ドラマ化といえば日本のように、ドラマ制作会社が原作を買い取る方法がほとんどだったこの業界で、韓国独特の図式が誕生している。それは、ウェブトゥーン配信の会社が、映像制作会社をもち、そこで映像化させているパターンだ。

ウェブトゥーンの老舗「NEVER」では、スタジオNという自社のウェブトゥーンの映像化専門の部署を設けている。現在制作会社スタジオドラゴンと共同制作契約を締結し、NEVER ウェブトゥーン『スィートホーム』の同名ドラマを制作中だ。『太陽の末裔』『トッケビ』といった世界的大ヒットドラマを手掛けたイ・ウンボク監督の新作ということで前評判も高く、すでNetflixでの世界配信が決定している。

このように、人気のあった漫画を直接自社グループの中でドラマの企画、制作、流通までを行うことで、よりスムーズに映像化できるようになった。

また、メッセージアプリ「KakaoTalk」で有名なカカオは、ウェブトゥーンで人気のあった作品を映像化するため「カカオM」という会社をもっている。最近ではここから生まれたドラマ『梨泰院クラス』がヒットを飛ばし、今後の作品にも期待が寄せられている。

ウェブトゥーン配信会社が映像制作まで

韓国の特徴といえば、国内での成功を早速海外にアピールし、海外市場を広げるのが早くて上手いことで有名である。もちろん、ウェブトゥーン原作の世界進出もしたたかに始まっている。

まずはアニメーションからアプローチが開始されるようで、日米韓合同アニメーション作品『神之塔 -Tower of God-』は韓国人作家SIUによって発表され、NEVER ウェブトゥーンで人気を集めた。その後日本ではLINE漫画にて掲載されるなど、世界28カ国に翻訳され、通算閲覧数は48億を誇る大ヒット作品だ。今回、韓国のウェブトゥーンを基盤にグローバルコンテンツ企業が製作・流通したことは初の試みであるという。

今月1日から世界同時放映が始まると、アメリカのコミュニティサイト 「Reddit」では、週間人気アニメ1位を獲得し、Twitterでも9位にトレンド入りを果たした。この成功を機に、韓国ウェブトゥーン原作は一気に世界へ進出していくとみられる。

人気アイドルを擁する芸能事務所と提携も

一方で、さらに新たの試みを実施しようとしているウェブトゥーンプラットフォームもある。通信会社KTがもつウェブトゥーンサービス「ケイトゥーン」では、コンテンツ強化を目的に、芸能事務所WMエンターテインメントとの契約締結を発表した。

WMエンターテインメントといえば、男性アイドルグループB1A4や女性アイドルグループOH MY GIRL、IZ*ONEのメンバー、イ・チェヨンが所属していることで有名だ。この会社がウェブトゥーンと手を組むことで、今後所属アイドルを使った宣伝や、メンバーをモデルにした漫画が制作されるという。まず、第1弾としてOH MY GIRLをモデルとしたウェブトゥーンが、今月14日から連載開始されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

米債市場の動き、FRBが利下げすべきとのシグナル=

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中