最新記事

コミック

韓国ウェブトゥーン、映像化で世界へ進出 Netflixでヒット「梨泰院クラス」など原作から配給までワンストップで生み出す

2020年4月22日(水)12時24分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)
ウェブトゥーン原作で大ヒットしたパク・ソジュン主演の『梨泰院クラス』

ウェブトゥーン原作で大ヒットした作品の最新事例がパク・ソジュン主演の『梨泰院クラス』だ JTBC Drama / YouTube

<映画やドラマのヒットを受けて、その原作のウェブトゥーン(ウェブ漫画)も注目され始めた>

韓国で映画の配給会社に勤めていた頃、ある韓国人プロデューサーに「日本人はなぜ漫画原作の実写映画が好きなのか? ストーリー展開も結末もわかっているのになぜ高いお金を払ってまで観に行くのか?」と質問されて驚いたことがある。

確かに、人々は内容を知りつつも、なぜ映画化された作品を観るのだろうか? 俳優やセットの再現シンクロ率を確かめるためなのだろうか。オリジナルストーリー作品が多い韓国人にはそんな状況が不思議に映っていたのだろう。ところが、そんな韓国でもここ最近、ウェブトゥーン(ウェブ漫画)原作の作品が増え、映像化権の買い占めが続いている。

以前からドラマ『宮 -Love in Palace-』『フルハウス』などを代表するコミック本原作のドラマや映画は存在したが、2014年前後からはウェブトゥーンのドラマ化が急増し始めた。その数は、昨年末までで約60作品を超えると言われている。そして今では、韓国内だけに留まらず、Netflixなどを通じて世界配信も行われるようになり、韓国ウェブトゥーンは世界的に注目を集めている。

韓国ウェブトゥーン人気の秘密

ウェブトゥーンがここまでの人気を集めるようになったのには、いくつかの理由があるが、その大きな要因と言われているのが、ジャンルがバラエティに富んでいる点だろう。Web作家は個人の趣味で漫画制作を始めていたことが多く、バックグラウンドも多様だ。その為、専門的な知識や得意分野をテーマにした漫画が多い。

また、日本とは違い、外国ではコミックは子供が読むものというイメージが強いが、パソコンやスマートフォンを通じて閲覧できるウェブトゥーンは会社員でも気軽に読め、子供向けという漫画の認識が薄い。その結果、大人向けのジャンルの漫画も充実しているようだ。

さらに、韓国のコミック漫画は原作者と作画者が分かれていることが多い為、映像化する際権利がややこしい。しかし、例外はあるにせよウェブトゥーンの場合ほとんどが原作者と作画は同一人物が行っているので、契約が進めやすいのも大きな利点だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、香港の火災報道巡り外国メディア呼び出し 「虚

ワールド

26年ブラジル大統領選、ボルソナロ氏長男が「出馬へ

ワールド

中国軍機、空自戦闘機にレーダー照射 太平洋上で空母

ビジネス

アングル:AI導入でも揺らがぬ仕事を、学位より配管
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中