最新記事

コミック

韓国ウェブトゥーン、映像化で世界へ進出 Netflixでヒット「梨泰院クラス」など原作から配給までワンストップで生み出す

2020年4月22日(水)12時24分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

映画の方も新作5本が進行中

今年2月、映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞4冠に輝くなど、世界中から韓国映画への関心が高まっているが、そんな映画業界もウェブトゥーンの映像化に積極的だ。日本でも公開された『神と共に』は、大人気ウェブトゥーンが原作だが、映画はシリーズ2作合わせて観客動員数2,700万人を突破しメガヒットしたことは記憶に新しい。

今年は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2月末から全世界的に映画館の興行が軒並み低迷中である。そんななか、韓国では既に5本のウェブトゥーン原作の映画化制作/公開が発表されていた。昨年9月にクランクアップした『首脳会談』の原作ウェブトゥーンは、2017年に掲載されこれまでに440万閲覧されている。

続いて、日本でも有名な『トンマッコルへようこそ』のベジョン監督(旧姓パク・クァンヒョン)がメガフォンを取るのはウェブトゥーン『上中下』の映画化だ。ハードボイルドの原作を監督がどう撮るか。また、1人3役の設定もどう演出されるのか期待が高まっている。

ソン・ガンホ主演の『南極日記』や『ヘンゼルとグレーテル』などの脚本・監督を務めたイム・ピルソン監督が次に取り組む作品は、スリラーウェブトゥーン『無礼な子供(フレジャシク)』だ。2016年発表当時、殺人を扱うセンセーショナルな内容にもかかわらず全年齢閲覧可になっていたため、保護者から非難が集中するなどひと騒動あった問題作である。

他にも、2000年度掲載の『復活男』、劇場版アニメーションとして公開予定の『ヨンウィピョンジ(연의 편지 Your Letter)』などの作品も制作中である。コロナの影響を受けてスケジュール延期も多いが、公開される日が待ち望まれている。

そして今月10日、アクションウェブトゥーンを中心としたプラットフォーム「ムトゥーン」を経営するブレインコンテンツが、ウェブトゥーンの月間売り上げ1億ウォンを突破したことを発表し話題となった。2000年前半に登場し一時は飽和状態と言われたウェブトゥーン業界だが、原作提供という道を見つけて新たな可能性を広げ始めている。

これから韓国の映画、ドラマ作品のトレンドを先回って知りたければ、ウェブトゥーンにもぜひ注目していただきたい。




20200428issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、米特使らと電話会談 「誠実に協力し

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

ガザ交渉「正念場」、仲介国カタール首相 「停戦まだ

ワールド

中国、香港の火災報道巡り外国メディア呼び出し 「虚
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 10
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中