最新記事

エンターテインメント

ハリウッドとエンタメ業界を直撃した最悪のコロナ危機

The Hit to Hollywood

2020年4月21日(火)19時00分
ポール・ボンド(カルチャー担当)

アナリストの一部には、映画の興行収入が100億ドル落ち込むという見方もある。この数字は全世界の年間予想総収入の4分の1に相当する。

「どんな影響が出るのか、まだ読めない」と、ある映画業界の大物は言う。「前代未聞の出来事だ。(自宅で楽しむ)ホームエンターテインメントは堅調かもしれないが、製作ペースの減速で作品不足が問題になりそうだ」

投資顧問会社CFRAの業界アナリスト、トゥナ・アモビはこう指摘する。「エンターテインメント企業のダメージを定量化することはほぼ不可能だ。まだ早過ぎる」

話題作が軒並み公開延期

「映画館やテーマパークが最もダメージを受けやすい」と、アモビは言う。「とてつもなく大きな影響が出る。中国への依存度が最も大きい企業は、香港と上海にテーマパークを展開しているディズニーだ」

同社はライブイベントやクルーズ事業でも新型コロナウイルスの影響が甚大で、株価は年初来で3割以上下落。投資顧問会社コーエンのアナリスト、グレゴリー・ウィリアムズは、テーマパークは業績回復まで何年もかかるとして、NBCユニバーサルのテーマパーク部門の今年度の予想利益を31%、21年度は27%、22年度は24%引き下げた。

それでも映画ビジネスの場合、他人との接触が危険でなくなれば急反騰が期待できると、証券会社ウェドブッシュ・セキュリティーズのマイケル・パクターは言う。「テーマパークやライブイベントと違い、映画のスケジュール延期は容易だ」

既に公開延期になった話題作は、ユニバーサルの『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(今年5月から来年4月に延期)、MGMの『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(7カ月先延ばしで今年11月に)など。マーベルの『ブラック・ウィドウ』は5月公開予定だったが、無期延期になった。

ディズニーの『リトル・マーメイド』『ピーター・パン』『ホーム・アローン』、ユニバーサルの『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』など、一時的に製作を中断している映画も数十本ある。大手傘下はともかく、中小の映画会社は倒産しかねないと警告する専門家もいるなか、一部の映画会社は迅速に対処してきた。自前の映画館も持つベリタスアーツは3月10日、4月3日公開の新作『シューティング・ヘロイン』の上映館を大幅に減らすと発表。公開と同時にストリーミング配信を行うことも決めた。その後、全ての大手映画会社も自社作品の多くでオンライン配信を前倒ししている。

広告市場にも大きな痛手

そんな状況で比較的好調なのは、テレビ画面で見るストリーミングメディアだ。ネットフリックスは在宅勤務の拡大に伴い、利用が急増。EUのデジタル政策を担当するティエリ・ブルトン欧州委員の要請に応じ、3月19日から「30日間、欧州での全てのストリーミング配信についてビットレート(映像1秒当たりのデータ量)を引き下げる」と発表した。不適切な映像を自動削除するストリーミング配信企業ビドエンジェルも、成長率が50%上昇した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、中国国家主席と会談 両国関係「新たな段

ワールド

トランプ氏、対コロンビア軍事作戦を警告 「良い考え

ビジネス

台湾検察、東京エレク現法を追起訴 TSMC機密取得

ビジネス

英消費者向け融資、11月は2年ぶり大幅増 家計需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── 韓国拉致被害者家族が見る日韓の絶望的な差
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 7
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    スペイン首相、アメリカのベネズエラ攻撃を「国際法…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中