最新記事

株の基礎知識

勝てる投資家は「悲観で買う」 その極意を解説

2022年2月10日(木)06時50分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

●売り手に快く応じる

原因となる出来事が何であろうと、ネガティブサプライズをきっかけに市場が一斉に売りに走ったときは、バーゲンハンターは皆が売りたがっている株を買うことを考えなくてはなりません。

株式市場の広範な急落を引き起こす危機的状況は、歴史の流れの中で途切れることなく発生します。将来危機的状況に遭遇したときは、すかさずそれを生かすという心構えが欠かせません。

●マスコミを味方につける

マスコミが流す暗いニュースの洪水を乗り切ることも必要になります。

暗いニュースは明るいニュースよりも人目を引きやすく、マスコミは足元の問題に狙いを定め、大衆をあおるように誇張して伝える傾向があります。考えられる最悪の結果に目を向けさせようとするのです。そしてマスコミには、市場に恐怖を吹き込み、投資家に安値で株を売らせる力があります。

大衆は、悪いニュースに翻弄されやすいです。「手遅れになる前に株を手放せ」と投資家をそそのかすマスコミは、バーゲンハンターの頼もしい味方になってくれます。

相場には血が流れている

金融市場に血が流れているときこそ、最高の買い時になります。たとえ、そこに自分の血が混じっていたとしても、この原則は変わりません。長期投資の目的は長期リターンを高めることであり、慌てて売りに走ることではないのです。

■危機の度に繰り返されること

個々の危機は、部分的には以前の危機と異なって見えるでしょうが、一般的に言えば共通する要素を持っています。

ところが、いくら前例が豊富にあったとしても、一般大衆は、やはり最悪の事態を恐れ、「過去の悲劇と『今回は違う』のだから、新たな現実と真剣に取り組む必要がある」と言い放ってしまいます。しかし様々な危機の事例では、状況がどんなに違って見えても、たいていは同じ結果になります。

だからこそ、群衆とは逆方向に動くことが成果につながります。危機のさなかに投資を試みる者にとって最大の利点は、個々の事例が外観的に少しずつ異なっているため、過去の事例と厳密な比較が容易でないことであり、それによって、投資家が常に混乱に陥ることなのです。

■グローバル投資のメリット

世界に目を向けるようになれば、バーゲン株候補の幅が広がり、厚みが増します。国同士を比較するという作業によって一層有望なバーゲン株を見つけられます。地域・国によって見通しや投資家心理が異なることで、資産価格にも国ごとにばらつきが生じます。

もちろん、分散化の効果も得られます。分散化は自分の身を守るのに良い手段です。複数の国に資産を分散することで、完全な見込み違いによる痛みを和らげることができます。

分散しなくていいのは、いつでも100%正しい判断ができる投資家だけです。

[執筆者]
朋川雅紀(ともかわ・まさき)
個人投資家・株式投資研究家。大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立する。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。【かぶまどアワード2021スマニュー賞】

※当記事は「かぶまど」の提供記事です
kabumado_newlogo200-2021.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え

ビジネス

焦点:米中貿易休戦、海外投資家の中国投資を促す効果
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中