最新記事

株の基礎知識

勝てる投資家は「悲観で買う」 その極意を解説

2022年2月10日(木)06時50分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

wakila-iStock.

<「悲観の極みは最高の買い時、楽観の極みは最高の売り時」という言葉がある。危機を利益に変えるバーゲンハンターの心得とは>

「悲観の極みは最高の買い時」


強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、
楽観とともに成熟し、陶酔のなかで消えてゆく。
悲観の極みは最高の買い時であり、
楽観の極みは最高の売り時である。

この言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。この一文は、伝説の投資家であるジョン・テンプルトンの投資哲学を明確に打ち出したものとして有名です。

私がいつも心掛けていることのひとつに、この「悲観で買う」という考え方があります。

■株式市場の「バーゲン」とは

株式をバーゲン価格で買える理由は、「他の投資家が売っているから」です。言い換えると、株式をバーゲン価格で買うには、大衆が最も恐れ、最も悲観的になっているところを探さなければなりません。

感情的になったり、勘違いや思い込みのせいで株式市場が暴落したり暴騰したりする時期には、買い手や売り手が市場で見せる集団的行動の中に「知恵」や「熟慮」を見いだすことはできません。

そして、株価のオーバーシュートは、いわゆる市場がバブルになったときだけに見られるものではなく、程度の差こそあれ、一日の中でも、一週間の中でも、一カ月の中でも、一年の中でも見られるものです。

歴史をよく理解し、長期的視野を持ち、悲観の極みで買おうとするバーゲンハンターは、そのパターンが歴史の中で何度も繰り返されるという事実を正しく評価できています。

相場の歴史を知っていることは、投資に大いにプラスになります。出来事が正確に繰り返されるというよりも、出来事のパターンや市場参加者の反応の仕方は、ある程度までは予測可能だからです。歴史は、投資家が株式市場のサプライズに過剰反応することを証明しています。

雨の日に買って、晴れの日に売る

人は予想外のことに出くわすと、たいていはパニックに陥ります。だからこそ、状況を前もって調べておくことが必要になります。つまり、株を買う前にその企業について、事業内容や成長のドライバー(促進要因)、リスク要因、過去の業績推移、競争状況などを理解しておくことです。

株を安いときに買うということは、一時的な人気がなくなった銘柄の賢い買い手になるということです。前もって企業情報の蓄積と分析を行っておけば、企業が土砂降りに遭って株価が下落したときに、断固とした姿勢でその株を買うことができます。

市場が雨の日に株を買って、晴れの日に売るという習慣を身に付けることが大切です。いま起きていることだけでなく、将来どのようなことが起こりうるのかを考えるのです。そして、どのようなことが起きる確率が高いのかに集中するのです。

投資家というのは、銘柄や業界、株式市場に対して偏見を抱いてしまう傾向があり、偏見にとらわれた投資家は、バーゲンの着想に目を向けることすらできなくなります。

(参考記事)勝ち続ける投資家がいまだから語る、「ストーリー」と「リスク管理」の重要性

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中