トランプ暴走の余波で加熱するW杯「ボイコット論」...ドイツやフランスが動けば他国も続く?
Calls for a boycott of the 2026 FIFA World Cup are growing, but how realistic is one?
2回の優勝を誇るフランスでもボイコット論争が(写真は2018年のロシア大会の表彰式) KAI PFAFFENBACHーREUTERS
<開催国アメリカへの不信がサッカーの祭典にまで影響を及ぼしている>
6月11日に開幕する男子サッカー・ワールドカップ(W杯)。今回はアメリカ、カナダ、メキシコ3カ国の共催だが、世界は早くもこの大会の行方を固唾をのんで見守っている。多くの国でボイコットの声が上がっているからだ。
きっかけはドナルド・トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランドを併合すると脅しをかけたことだ。これを受け、ドイツサッカー連盟の幹部が大会のボイコットを検討すべきと主張。フランスの議員も過去2回優勝した自国が参加を見合わせれば、影響は大きいと提案した。
現時点ではドイツとフランスのサッカー連盟はボイコットは検討しないと明言している。だが米ミネソタ州ミネアポリスで米移民関税執行局(ICE)捜査官らが市民を射殺した事件も、ホスト国のアメリカに対する懸念や反感を強める結果となっている。
W杯は世界中のファンが集う「サッカーの祭典」だ。観光ビザで観戦に訪れる外国人も大勢いる。ICEが会場の警備に当たるとみられるが、同局の局長代行はW杯開催中も不法移民取り締まりの手を緩めないと宣言している。
W杯観戦のために訪れた外国人がトランプ批判と見なされるような言動をすれば、ICEに拘束されかねないと、人権団体は警告する。
国際スポーツ大会では、出場国が自らボイコットするよりも出場停止になるケースのほうがはるかに多い。
1964年の東京五輪ではアパルトヘイト(人種隔離政策)を理由に南アフリカが招待を取り消された。72年のミュンヘン五輪でもローデシア(現ジンバブエ)が出場停止になったが、注目すべきはその経緯だ。いずれも他のアフリカ諸国が集団ボイコットを示唆したため、IOC(国際オリンピック委員会)が出場停止を決定した。
不参加の効果は限定的
最も有名な五輪ボイコット事件が起きたのは80年だ。ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議し、アメリカの呼びかけで60カ国以上がモスクワ五輪参加を拒否。これに対し84年のロサンゼルス五輪には、ソ連と東欧諸国を中心に14の国と地域が出場を見合わせた。
サッカーのW杯では、出場権を獲得したチームが政治的な理由でボイコットした前例はない。66年のW杯を控え、アフリカ勢が予選をボイコットしたのはアジア、アフリカ、オセアニアの3大陸で出場権が1枠しかないことへの抗議だった。
現在、主要国のサッカー連盟のトップはいずれもボイコットを支持していない。しかもFIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長はトランプ寄りで知られ、ボイコットの効果は限定的とみられる。
インファンティーノは「FIFA平和賞」なるものを創設してトランプに授与して、さんざん批判を浴びた。トランプ主導の「平和評議会」の初会合にもFIFAの代表として出席し、パレスチナ自治区ガザの復興への資金拠出も約束している。
トランプがイスラエルと共にイラン攻撃に踏み切った今、ボイコット論争がさらに過熱する可能性がある。しかし、それでもインファンティーノとトランプは今のやり方を変えそうにない。
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Noah Eliot Vanderhoeven, PhD Candidate, Political Science, Western University
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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