最新記事

教育

「脳まで筋肉の柔道選手」と中傷された彼女が医学部合格を果たした、たった一つの理由

2021年11月30日(火)19時15分
朝比奈 沙羅(柔道選手) *PRESIDENT Onlineからの転載
世界柔道選手権で優勝、そして獨協医科大学医学部に合格した朝比奈沙

世界柔道選手権で優勝、そして獨協医科大学医学部に合格と文武両道を実現した朝比奈沙さん 撮影=市来朋久


二兎を追って二兎を得ることができた人は何が違うのか。2018年の世界柔道選手権などで優勝(金メダル)した朝比奈沙羅選手は2020年春、獨協医科大学医学部に合格した。「脳まで筋肉の柔道選手に医学部合格なんて......」などと誹謗中傷を受けたにもかかわらず、その苦難を乗り越えられた理由を明かした――。

※本稿は、『プレジデントFamily医学部進学大百科2021完全保存版』の一部を再編集したものです。

医師免許と五輪出場を狙う朝比奈沙羅と父輝哉さんの物語

「朝比奈家は普通の家じゃない。子供の頃からずっとそう思ってきました」

2017年、マラケシュ世界柔道無差別選手権優勝、18年、バクー世界柔道選手権78kg超級優勝(金メダル)のほか、数多くの国際大会を制覇してきた柔道家・朝比奈沙羅選手。彼女は、自身が育ってきた家庭環境について、こう語る。

「テルヤさん、あ、父のことです。両親のことをテルヤさん、ミツコさんって呼んでいます。幼稚園の頃、父とキャッチボールをしていて、取れなくて顔にボールが当たったことがあるんです。父は学生時代水球をやっていて、球がめちゃくちゃ速い。それなのに娘の顔を心配するどころか『何やってんだ! 顔で止める気持ちでやれ!』って。普通じゃないですよね」

利き手ばかりを使っていると体のバランスが崩れると、父の言いつけで朝食は右手で箸を持ち、昼食は左手、夕食は右手で、翌朝は左からと、左右交互に使って食べさせられた。

「やる以上は徹底的に。それが朝比奈家の家訓だと言われてきました。箸だけじゃなく、左右どちらでもボールが投げられるし、両足でボールを蹴ることもできます」と沙羅選手。

「巨人の星」の星飛雄馬と父一徹のようなエピソード

朝比奈沙羅さんまるで、『巨人の星』の星一徹と飛雄馬親子のエピソードのようだが、こうした父の教育が見事に実を結び、父の念願通り、沙羅選手は日本を代表するアスリートへと成長......したのかと思いきや、事情は少し違うらしい。

東京西徳洲会病院麻酔科に勤務する父・朝比奈輝哉氏に、娘の教育方針を聞いた。

「実は、アスリートに育てようと思ったことは一度もないのです。私も妻も医療系の仕事なので、沙羅も医師にしたかった。やはり資格というのは生きるための強い武器。だったらどこでも通用する医師免許を持てば、生きる上での選択肢が増えます」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

BRICS首脳会議、ガザ・イランへの攻撃非難 世界

ビジネス

日産、台湾・鴻海と追浜工場の共同利用を協議 EV生

ワールド

マスク氏新党結成「ばかげている」、トランプ氏が一蹴

ワールド

米、複数の通商合意に近づく 近日発表へ=ベセント財
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中