最新記事

株の基礎知識

東証1部が「なくなる」──市場再編で何が変わるか、企業・マーケットの動きが活発になってきた

2021年7月20日(火)06時55分
佐々木達也 ※株の窓口より転載

■TOPIXの見直しで株価の歪みを是正

また、昨今のインデックス投資ブームによる価格形成の歪みも是正されると考えられています。

例えば、現状のTOPIXは、東証1部全上場銘柄の時価総額を加重平均して算出されています。株価が上がると時価総額(株価×発行済み株式数)が増えて、それがTOPIXの上昇にもつながりますが、加重平均されることで時価総額が大きい銘柄がTOPIXに与える影響がより一層大きくなっているのです。

そして、日銀によるETF(上場投資信託)の買い入れでもTOPIX連動型のウエイトが高くなっていますが、機関投資家などがTOPIX全体に投資すると時価総額や流動性の小さい株にも資金が流入することから、実際の企業価値と乖離した株価形成がなされている点が問題視されていたのです。

わかりやすく言うと、東証1部に上場しているだけで機械的に株式が購入されて、資金が流入し、株価の上昇(もしくは下落防止)につながっていたわけです。今回の市場再編によってTOPIXの算出方法も見直され、より健全な価格形成がなされるようになると期待されています。

万全の体制で新市場を迎える

この他にも、ジャスダックとマザーズに分かれている新興成長株向けの市場がグロース市場に統一される点も評価できます。現在は指数も複数に分かれており、それぞれの違いがわかりにくくなっているので、これらもゆくゆくは統一されて、投資家と市場の双方にとっての効率化となりそうです。

2022年4月に向けて、市場再編をめぐる議論や企業の動きはさらに加速するとみられます。コロナ禍で厳しい企業にとっては、プライム市場に食い込むことが、文字どおり生き残りをかけた戦いになるかもしれません。また、市場側からも次々と新しい発表が出されるでしょう。

個別企業の動きを注視しながらも、報道やニュースの重要なポイントを押さえ、新市場に向けた全体的な流れをつかみたいところです。くれぐれも、いざ来年4月を迎えて慌てることのないように、少しずつ状況の把握を進めておきましょう。

2021/07/13

[執筆者]
佐々木達也(ささき・たつや)
金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200new.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

パラマウント、WBD買収条件引き上げ 違約金など負

ビジネス

円続伸し153円台後半、ドルは弱い指標が重し

ワールド

全米知事会、トランプ氏との会合中止 共和党のみ招待

ワールド

再送-中国首相がレアアース施設視察、対米競争での優
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中