最新記事

2021年に始める 投資超入門

【投資】ビオンテック、アンジェス... 注目の日米バイオ銘柄はこれだ

2021年1月6日(水)17時15分
安藤智彦(ジャーナリスト)

Dado Ruvic/Illustration-REUTERS

<ワクチン関連株に関心は集中しそうだが、投資対象にするにはリスクもある。編集部が選んだ2021年に期待の5テーマのひとつ、バイオ。その動向と代表的な日米銘柄をアナリストに聞いた。本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より>

遺伝子組み換えや再生医療といった幅広いテーマをカバーするバイオ関連企業。しかし2020年の株式市場では、一部の企業に救世主としての「期待感」が集中することとなった。

新型コロナウイルスのワクチンや特効薬の開発を手掛ける企業だ。
20210112issue_cover200.jpg
全世界がコロナ禍に翻弄されるなか、2020年前半は治療薬として期待されたアビガンやレムデシビルなどの薬剤関連銘柄が、後半からはワクチン関連銘柄が高騰。ワクチン開発をめぐる報道の過熱もあり、いち早く臨床試験の成果を公表、英米での接種開始へとステップを進めた米製薬大手のファイザーや米バイオ医薬品企業モデルナなどが大きくクローズアップされた。

「米国市場でバイオと言えば、それまでは創薬ベンチャーのギリアド・サイエンシズが代名詞的だったが、ワクチン関連一色になった」と、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは振り返る。

ギリアド社は、インフルエンザ治療薬のタミフルやHIV治療薬のツルバダなどで脚光を浴びてきた企業。引き続き注目なのは間違いないが、今はどうしてもワクチン関連銘柄に視線が集中する。

「2020年後半はファイザーとワクチンを共同開発した独ビオンテックが、バイオ関連のみならず全銘柄の中で一番物色された印象だ」(広木氏)

欧米主導で進むワクチン開発だが、日本でもバイオ創薬ベンチャーのアンジェスが名乗りを上げ、アビガンの製造を担う富士フイルム富山化学なども引き続き期待されている。ただし「日本はバイオ分野のプレーヤーが少なく規模も小さい」(広木氏)。

コロナ用ワクチンは、承認の下りた国ごとに順次接種が始まったばかり。JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは「ワクチン接種からの正常化につながる期待が、少なくとも2021年前半は続く」とみるが、注意が必要だという。「急ピッチでワクチンを製造したため、効果が出ない、あるいは期待されているほど収益に貢献しないといった事態も想定し得る」

一方、「既にワクチン関連銘柄は期待感を株価に織り込み済み」と言うのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の新井洋子チーフ・グローバル投資ストラテジストだ。「まだ実用化への進展段階であり、有効性などの吟味なしにこれから投資対象とするにはリスクが大き過ぎる」

そもそも先進技術を扱うバイオ関連銘柄は、ワクチンに限らず、未知の技術に「賭ける」側面が強い。

2021年も引き続き注目は続きそうだが、今後はポストコロナに向けた「目利き」も問われそうだ。

transaction_accounts_superbanner.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー

ワールド

インドネシア、9月輸出入が増加 ともに予想上回る

ワールド

インド製造業PMI、10月改定値は59.2に上昇 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中