最新記事

インタビュー

新卒1カ月で無職になった彼女を、Forbes選出の起業家に変えた1冊の本

2021年1月9日(土)12時10分
今井順

一般社団法人WaffleのCo-Founder/CEO、田中沙弥果氏 Photo: Rika Usami-Newsweek Japan

<女子中高生向けIT教育などを手掛け、起業家として活躍するWaffleの田中沙弥果CEOだが、新卒入社した会社を辞め、再就職もできず苦しんだ時期もあった。そんな彼女には「人生を作る1冊」になった、20歳の時に出合った本があるという>

田中沙弥果(さやか)さんには、20歳の時から、ずっと読み続けている本がある。スタンフォード大学工学部教授のティナ・シーリグによる『20歳のときに知っておきたかったこと――スタンフォード大学集中講義』(CCCメディアハウス、2010年刊行)だ。

一般社団法人WaffleのCo-Founder/CEOである田中さんは、世界を変える30歳未満の日本人30人をForbes JAPAN誌が表彰する「30 UNDER 30 JAPAN 2020」に選出された起業家。IT分野のジェンダーギャップを埋めるべく、女子中高生向けのIT教育や政策提言を実施している彼女にとって、その本はまさに「人生を作る1冊」になったという。

新卒で入社した会社を1カ月で辞めた。その後、アメリカでティナ・シーリグ本人に会い、今は起業家として活躍している。そんな田中さんは『20歳のときに知っておきたかったこと』のどこに魅力を感じたのか――。

このたび、30万部ベストセラーの同書を大幅に増補した『新版 20歳のときに知っておきたかったこと――スタンフォード大学集中講義』(CCCメディアハウス)が刊行されたのを機に、話を聞いた。

20歳の時の夢は、スタンフォード大学に通うこと


それまではあまり本を読む習慣はなかったんですけれど、たまたま通りかかった本屋で『20歳のときに知っておきたかったこと』というタイトルを目にして。ちょうど大学生で20歳だったので、どんなことが書いてあるのかちょっと知っておきたいなと思って、手に取りました。

大阪府内の大学に通っていた当時の夢は、JICA(国際協力機構)で働くこと。貧困や難民の問題について学んでいたことから、グローバルな視点で社会課題を解決する仕事に就きたいと、漠然と考えていた。そんな彼女はこの本を読んだことで、スタンフォード大学に行きたいと思うようになったという。


冒頭で「2時間あげるから、元手の5ドルを増やす方法を考えてください」という課題をどう解決していくのかのエピソードが紹介されているのですが、それを読んで「世の中にはこんな教育があったんだ!」とワクワクしました。

そして、実験的に価値を最大化する体験や、創造性や行動力でチャンスを広げていく教育に魅了されて、スタンフォード大学に行きたいと思い始めたんです。でも、どうしたら行けるか分からなかったので、このときは「自分には無理だ」と思って諦めてしまった。

2013年に田中さんは、アメリカの大学への憧れからスタンフォードではない別の大学に留学する。そしてそこで目にしたものを機に、テクノロジーに関わる仕事をしたいと考えるようになった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、加・メキシコ首脳と貿易巡り会談 W杯抽

ワールド

プーチン氏と米特使の会談「真に友好的」=ロシア大統

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

米国株式市場=小幅高、利下げ期待で ネトフリの買収
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中