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「みんな承認欲求をこじらせている。それを意識して選択しているか?」Tehuが語るネットと人生

2020年10月29日(木)16時25分
朴順梨(ライター)

人格としてのTehuとはそろそろおさらばかな

――本に対しての周りの人からの反応、ありましたか?

体当たり系の女性ライターの友人がいるんですけど、僕が『千と千尋の神隠し』を例にして、「Tehuという名前を捨てて『さとる』に戻ったことで人生が変わった」と書いたくだりを読んで、泣いたと感想をくれました。彼女もペンネームで活動しているのですが、「体当たりが過ぎた自分は、まさに千尋ではなく千になっていた」と。

彼女のように僕とどこか同じような思いをしてきた人には響く本だと気付きました。SNSのフォロワー数に関わらず、どこか少し無理して対外的な自分を演じて、発信を続けている人にも響くところがあるはずです。そういう人にも読んでもらえると嬉しいです。

名前やネーミングって、すごく大きな情報量を持つ何かを簡単に抽象化するじゃないですか。人によってその名前が表す抽象物に対する反応は違います。でも、人からの反応を気にして、その反応に自分を合わせにいくみたいなところがあると思うんです。

自分らしく生きていくことを考えたときに、他人の反応に自分を合わせていくことがどこか虚しいということを、僕はこの10年で学びました。

僕がTehuを使い始めたのは、ひと目で中国人と分かる名前にコンプレックスがあったという一面もあります(※編集部注:日本育ちだが、国籍は中国)。でも今は堂々と張惺に戻そうかなと思うし、今後日本人になるとしても、子供の頃は嫌っていた「張」っていう名字を残そうかなと思えるようになっています。

――Tehuは封印して、今後は張惺で生きていきますか?

あだ名としては残り続けるでしょうけれども、人格としてのTehuとはそろそろおさらばかなと。というより、時間を経て、あの頃のTehuはあのままではもう存在していないんです。

だからこの本は「追悼本」なんです。そのうちにTehuに関わった人たちの声を集めて、それをプリントアウトしてお焚き上げでもして、天に返そうかな。その模様を生配信して僕のバズ人生に終止符を打つのも一つの手ですね。軽くバズるといいなあ(笑)。


「バズりたい」をやめてみた。
 Tehu(張惺) 著
 CCCメディアハウス

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