ニュース速報
ビジネス

中国GDP、第2四半期は5.2%増に鈍化 底堅さも関税など逆風続く

2025年07月15日(火)17時34分

 中国国家統計局が15日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比5.2%増加し、市場予想の5.1%増を小幅に上回った。米国の関税に直面する中でも底堅さを示した。写真は上海で14日撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)

Joe Cash Ellen Zhang Kevin Yao

[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比5.2%増加し、市場予想の5.1%増を小幅に上回った。米国の関税に直面する中でも底堅さを示した。ただ、アナリストは逆風が強まる可能性を警告し、当局に追加刺激策を求める圧力が高まると予想している。

第1・四半期の5.4%増からは減速した。前期比では1.1%増加。市場予想は0.9%増、第1・四半期は1.2%増だった。

保銀投資(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「輸出が前倒しされたこともあり、第2・四半期は政府目標の5%を上回る成長を達成した。第1・四半期と共に目標を上回ったことで、政府は下半期に多少の減速を容認できる余地を得た」と述べた。

ソシエテ・ジェネラルのエコノミストは「上半期は好調だったものの、輸出の前倒しがなくなり、米国の関税の影響がより顕著になるため、下半期の見通しは悪化するだろう」と指摘。「住宅価格の新たな下落と補助金の効果の薄れも、消費回復の持続性に疑問を投げかけている」と述べた。

市場は7月下旬に予定される政治局会議で新たな刺激策が示されるかどうか注視している。

中国当局は金融緩和に加え、インフラ投資や消費者向け補助金を強化してきた。中国人民銀行(中央銀行)は5月、トランプ米政権の関税措置による経済への悪影響軽減に向けた幅広い取り組みの一環として金利を引き下げ、流動性を供給した。

今後数カ月でさらなる金融緩和が予想されるが、一部のアナリストは成長が急減速した場合、政府が財政出動を拡大する可能性があるとみている。

<今年後半さらに鈍化も>

ただ、アナリストらは刺激策だけではデフレ圧力に対処するには不十分かもしれないと述べている。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ツーチュン・フアン氏は、GDP統計は「おそらくまだ成長の強さを誇張している」と指摘。「輸出は減速し、財政支援による追い風も弱まる傾向にある中、下半期の成長率はさらに鈍化する可能性が高い」と語った。

ANZのアナリストは、下半期に経済が減速すると予想しているが、デフレが依然として「主要な脅威」と指摘、25年の成長率予測を従来の4.2%から5.1%に引き上げた。

国家統計局が併せて発表した6月の経済指標は強弱まちまちの内容となった。鉱工業生産は前年比6.8%増と、5月の5.8%増から加速し、市場予想の5.7%増を上回った。一方、小売売上高は4.8%増で5月の6.4%増から減速。市場予想の5.4%増も下回った。

1─6月の固定資産投資は前年同期比2.8%増加。予想は3.6%増、1─5月は3.7%増だった。

6月の新築住宅価格は前月比0.3%下落し、8カ月ぶりの大幅な落ち込みを記録した。国家統計局が発表したデータを基にロイターが算出した。

<強まる逆風>

ロイター調査によると、第3・四半期のGDPは4.5%、第4・四半期は4.0%にそれぞれ鈍化すると予想されている。

また、25年通年のGDP成長率は前年比4.6%、26年は4.2%となり、政府目標の5%前後を割り込むとみられている。24年は5.0%だった。

中国不動産市場の低迷は度重なる支援策にもかかわらず続いており、全体の成長の足かせとなっている。今年上半期の不動産セクターへの投資は大幅に減少し、6月の新築住宅価格は8カ月ぶりの大幅な下落となった。

投資の弱さは経済全体の不確実性を反映しており、この日発表された6月の粗鋼生産は8318万トンと、前月比で3.9%減、前年同月比で9.2%減となった。季節的に需要が低迷する中、多くの鉄鋼メーカーが設備のメンテナンスを実施した。

ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、ダン・ワン氏は「より強力な財政刺激策がなければ、第3・四半期の成長はリスクにさらされる」とし、「消費者と企業の両方がより慎重になっており、輸出企業は成長を求め、ますます海外に目を向けている」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国GDP、第2四半期は5.2%増に鈍化 底堅さも

ワールド

トランプ氏の「芝居じみた最後通告」 ロシアは気にせ

ビジネス

焦点:来たる米Tビル大量発行、今後1年半で1兆ドル

ワールド

アングル:米政権の財政運営「視界不良」、情報不足に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 10
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中