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アングル:米政権の財政運営「視界不良」、情報不足に与党からも批判

2025年07月15日(火)17時20分

 7月14日、トランプ米政権の財政運営が「視界不良」だ。歳出の詳細を明らかにせず予算執行に支障が生じている。写真は柵の間からのぞく連邦議会議事堂。2022年9月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Mary F. Calvert)

Bo Erickson

[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米政権の財政運営が「視界不良」だ。歳出の詳細を明らかにせず予算執行に支障が生じている。議会では野党民主党だけでなく与党共和党議員からも批判の声が上がっている。

オハイオ州クリーブランドの学校。新学期に向け、86万ドルの連邦補助金を受けられるかどうかで、指導内容の変更を余儀なくされる可能性がある。校長は「補助金が出るのかどうか何も情報を受け取っていない」と困惑する。

補助金は、7月1日に保留された全国レベルの学校プログラム60億ドル超の一部。OMBは、教育補助金の拠出保留について「過激な左翼の政策を助成するために著しく悪用されている」という初期調査結果を受けて「プログラムを見直している」ためだと説明する。

予算専門家は、広い分野で支出の詳細公表を渋ることは、資金調達に関する法律を無視し、今後の予算編成プロセスを複雑にするもので、支出の透明性向上を目指してきたこれまでの慣例から逸脱すると指摘する。

ブッシュ(子)政権で予算局の責任者などを務めたデイビッド・テイラー氏は「国民にとっても議会にとっても、1年のこの時点で政府機関の支出に関する信頼に足る情報がこれほど入手できなかったことは、1974年に現代の予算プロセスが確立されて以来、一度もない」と語った。

米合衆国憲法では、税金を各執行機関にどのように配分するかを決める権限は議会にある。しかし議会が3月につなぎ予算法を可決し、トランプ氏が署名して以来、多くの連邦政府機関がこの法律で定められた支出計画を公表しなかったり、不完全なデータを送付したりしたため、議会は支出の行方について疑問を抱えたままだ。

上院歳出委員会のスーザン・コリンズ委員長(共和党)は6月25日の公聴会で行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート局長に対し「予算の遅れ、詳細の欠如、支出計画の割愛によって連邦予算の透明性は低下し、国民や議員にとっての説明責任が損なわれている」と訴えた。

<矢面の閣僚>

閣僚らはここ数週間、議会で厳しい追及を受けている。資金調達に関する法律では、4月までの詳細開示が義務付けられているからだ。

下院歳出委員会のトム・コール委員長(共和党)は6月、ヘグセス国防長官に対し「提供された以上の情報が必要だ」と訴えた。国防総省の支出計画はその1カ月以上前には公表が義務づけられていた。

連邦捜査局(FBI)のパテル長官は5月の公聴会で支出の詳細を開示していないことを追及され、「最善を尽くしている」と述べるとともに、政権の他の部門も開示していないと指摘した。

バーガム内務長官は民主党議員からの追及に対し「課題が山積みだ。人員の増強に取り組んでいる」と弁解した。  

ロイター
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