最新記事

株の基礎知識

いま日本株を買っているのは誰なのか

2020年9月14日(月)06時30分
鳳ナオミ ※株の窓口より転載

売買主体ごとの特徴を知る

●売りと買いを極端に行動する海外投資家

「海外投資家が日本株の値動きを左右している」と言われることがあります。

売買シェアの7割を占めていることもありますが、彼らは各国の経済や金利環境、企業業績、あるいは政治情勢や地政学的リスクも含め、さまざまなファンダメンタルズの変化に敏感で、一度決めたストラテジーに忠実な売買を行います。

膨大な資金量を保有していることから、結果的に、株式市場の方向を決めるほどの影響力を発揮することになります。いったん「買う」と決めた場合は上値を追って買い、反対に「売る」と決めた場合は下値を叩いてまで売ることが多いので、外国人の売買動向は多くの市場関係者が注目しています。

買い金額と売り金額の差額(プラスなら買い越し、マイナスなら売り越し)が日経平均株価の水準を変えることも珍しくありません。

●逆張り志向の個人投資家

個人投資家は日本株の上昇局面で売り越し、下落局面で買い越すことの多い、いわゆる「逆張り」を行うところに特徴があります。利益確定を急ぐ傾向にあることや、一攫千金を夢見る人が多いのかもしれません。

ただし、IPO(新規株式公開)が多いときには、実態以上に売り越し額が大きく出る傾向があるので、注意したいところです(統計上、売りのみがカウントされるため)。

●個人の代替需要の投資信託

投資信託会社は個人などから小口のお金を集め、まとめて運用する特徴を持つので、新たな投資信託が設定されれば買い越しとなり、解約が相次げば売り越しとなる傾向があります。それゆえ相場に準じた動きとなり、相場を左右する主体とはなりにくいと言えます。

●自社株買いの事業法人

事業法人の売買は、主に「自社株買い」です。株主への利益配分の一環として、毎年1兆円以上を買い越している安定的な買い主体と言えるでしょう。相場が下落基調にある時は、一定の買い支え役として機能します。

●売り基調を継続する銀行・生損保

この主体の特徴は、持ち合い解消の売りを続けていることです。これまでそうであったように、今後も一貫して売り基調が続くことが見込まれています。

●売ることも買うこともある信託銀行

主に年金などを売買しています。世界最大の投資家とされる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、信託銀行を通じて売買を行っています。

GPIFは金額組み入れ比率の上限があるために、株価上昇局面では日本株の組み入れ比率が高くなり、リバランス(比率調整)のために売り越すことが多いです。一方、株価下落局面では、日本株の組み入れ比率が低くなるので、比率調整のために買い越すことが多いのが特徴です。

組み入れ比率の見直しなどがあると、大変注目される投資主体です。

【話題の記事】
株式投資で「必ずやらなければいけない」本当に大切なこと
動画:タランチュラが鳥を頭から食べる衝撃映像とメカニズム

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英製薬アストラゼネカ、米国への上場移転を検討=英紙

ワールド

米EV推進団体、税額控除維持を下院に要請 上院の法

ビジネス

マネタリーベース6月は前年比3.5%減、10カ月連

ワールド

トランプ氏、義理の娘を引退上院議員後任候補に起用の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 9
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中