最新記事

脳科学

時間を守れないのは性格のせいではなく、脳を仕向ける「技術」を知らないだけ

2020年5月1日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

(1)作業場所を限定する

脳は、常に予測をして行動の準備をしている。予測の要素となるのが「場所」だ。その場所に行こうとした時点で、過去の記憶に基づいてその場所で同じ行動を取りやすいように準備をしている。

このフィードフォワードをうまく使って、例えばここは経費の精算作業をやる場所、ここは書類の押印・署名をする場所などと決めれば、体はあっさりと動き、その作業を終えることができるのだ。

ある特定の作業をする場所を決めたら、そこにはほかの作業に使う書類や道具は置かないことがポイントだ。

(2)次の動作を少し重ねて保存する

脳は1つの作業に取り組んでいるとき、その作業の見通しや次にやらなければいけないことなどの不確定な未来を確かなものにするために準備をしている。

そこで、1つの作業を終えたら、次にやることに少しだけ手を付けておくとよいだろう。例えば食後の皿洗いで、食器を流し台に運んだら、1枚だけ皿を洗って拭いて食器棚にしまう。すると脳は、次の作業を見せられることで、次の行動を考えるエネルギーが省けるため、すぐに動けるのだ。

(3)「〇〇する」とつぶやく

普段使っている言葉は、脳が行動するための指令になっている。

なんとなく口にしている、「〇〇しなきゃいけないんだった」というつぶやきは、脳にとって、やるのかやらないのか分かりにくい。「〇〇する」のような明快な言葉に変えることで、あっさりと行動することができるという。

自分のものであって、自分が予想しない動きをする脳は、本当に不思議な存在である。時間管理に悩む人だけでなく、時間をもっと有効に使いたい人にとっても、自分の脳と上手に付き合い、コントロールしていくことは大切だろう。

脳をスイッチ!
 ――時間を思い通りにコントロールする技術』
 菅原洋平 著
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中