NY外為市場=円安急進、日銀が追加利上げ明確に示さず 介入警戒感続く
日本銀行本店。2025年12月18日撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[ニューヨーク/ロンドン 19日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、日銀が利上げを決定したものの、今後の追加利上げに関する方針を明確に示さなかったことを受け、円がドルなどの主要通貨に対し大きく下落した。
終盤の取引でドル/円は1.23%高の157.535円。一時157.67円まで上昇し、4週間ぶりの高値を更新した。
ユーロ/円は184.71円と、過去最高値を更新。スイスフラン/円も197.23円と過去最高値を更新した。英ポンド/円は一時1.36%高の210.96円と、2008年以来の高値を付けた。
日銀は18─19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%に引き上げると全員一致で決定。利上げは1月以来で、政策金利は1995年9月以来、30年ぶりの高水準となった。植田和男総裁は金融政策決定会合後の会見で、経済に対して引き締め的でも緩和的でもない中立金利について、推計値の下限までには「少し距離がある」とする一方で、実際の中立金利がどこに位置するのかは利上げによる経済の反応を点検しながら「手探りで見ていかなければいけない」と言及。今後の利上げの具体的な時期やペースについて明言を避けたことが円の下落につながった。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「日銀は予想通りに利上げを決定し、経済が想定通りに推移すれば利上げを継続する姿勢を示したが、円はあらゆる通貨に対して弱含んでいる」とし、「日銀のスタンスが十分にタカ派ではなかったと市場で受け止められている可能性がある」と述べた。
政府・日銀による円買い・ドル売り介入の実施が引き続き意識される中、片山さつき財務相は19日、足元の為替円安に関し「一方向で急激な動きがこの半日、この数時間明らかにあるので憂慮している」とし、行き過ぎた動きには適切に対応する考えも強調。日銀が利上げに踏み切って以降に2円弱円安に振れたことについて「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい為替相場の問題としては、ちょっとなあと思っている」と語った。
ユーロ/ドルは1.1720ドルと、横ばい。 欧州中央銀行(ECB)は18日に開いた理事会で金利据え置きを決定。据え置きは4会合連続で、予想通りだった。ラガルド総裁は先行きの指針は示さず、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と述べるにとどめた。
英ポンド/ドルは一時上下に振れた後、1.3388ドルに戻した。イングランド銀行(英中央銀行)は18日に開いた金融政策委員会で0.25%ポイントの利下げを決定。決定は5対4の僅差で、すでに緩やかなペースとなっている利下げが今後さらに減速する可能性が示唆された。
ドル/円 NY午後4時 157.67/157.72
始値 157.30
高値 157.71
安値 156.95
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1709/1.1710
始値 1.1710
高値 1.1737
安値 1.1703





