最新記事

投資の基礎知識

人生経験が役立つ! 50歳の人こそ今から株を始めるべき理由

2018年8月10日(金)17時30分
高株 昇 ※株の窓口より転載

株式投資で重要なのは出口戦略

買った株が値上がりしても、売らないことには利益が確定しない。株は買い時よりも売り時を見極める方がはるかに難しい。株価の上昇が続くと、「まだ上がりそうだから、ここで売ったらもったいない」と躊躇しているうちに急落することは、よくある。

だが、そこで怖くなって慌てて売ると、売ったとたんに再び上昇し始めて悔しい思いをする。一度この経験をすると、せっかく売るタイミングなのにためらってしまい、結果的に含み損を抱えて長い間保有したままになることがある。投資の世界では、これを「塩漬け」と呼ぶ。

どんな株でも上がったり下がったりするものだ。今まで投資経験がなくても、長い人生の中でたくさんの情報に触れていれば、その感覚は身についているはずだ。そうは言っても、いざ自分のお金で投資すると、どうしても目の前の値動きが気になって判断を誤りがちになるのもわかる。

それでも50歳にもなれば、若い頃とは違って物事を俯瞰して見る力は養われているはずだ。酸いも甘いも経験しているからこそ生じる迷いもあるだろうが、年の功を生かして少し冷静になれば、目先の利益だけにとらわれない判断ができるのではないだろうか。

株式投資では、出口戦略こそ重要だ。そのためにも、心とお金の余裕を持つことが大切だ。そして、いざ株を買うときは、一度に大金をつぎ込まないこと。株式投資は決して博打ではない。ゆとりを持って投資しよう。

株を始めるなら退職"前"に

今50歳の人が公的年金をもらえるのは基本的に65歳からだが、年金だけで老後の生活費を賄うのは厳しい。まだ住宅ローンの返済や子どもの教育資金に追われていて、自分の老後資金まで手が回らないという人も少なくない。だが、そろそろ老後資金の準備も始めたい。

超低金利時代が果てしなく続くなか、多少のリスクは覚悟しても投資しなければ、お金はほとんど増えない。

やっと定年を迎えた頃に、経済的にも時間的にもゆとりが出てきたことで、退職金を元手に株を始める人もいるが、急に自由に使える大きな資金を手にすると気も大きくなって、知識やセオリーを備えないまま株を始めて大失敗するケースもよくある。

50歳前後の人は、一般に定年世代に比べると手持ちの資産は少ないが、収入は多い。じっくりと株式投資に費やすことができる期間も長い。

現役時代から株式投資に慣れておくと、いざ退職金が入ったときの運用にも役立つ。頭の老化予防にもつながり、リタイア後の生きがいにもなる。定年後は、長い人生経験と株式投資を通じて得た知識を活用して社会に還元していくことも可能だ。

50歳は「人生100年時代」の折り返し地点。まだまだ老けてはいられない。後半戦はこれからだ。老後を見据えて株を始めには、ちょうど良い時期と言えるのではないだろうか。

[筆者]
高株 昇(タカカブ・ノボル)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、証券アナリスト。 証券会社勤務を経てファイナンシャル・プランナーとして独立。お金に関する各種セミナー、金融系資格取得講座、企業研修などで幅広く講師を務めるほか、書籍・雑誌・Webメディア等での執筆活動、コンサルティング活動なども行う。特定の金融商品や保険商品などの販売・勧誘等は行っていない。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200new.jpg

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中