コメ価格5キロ4000円時代を容認? 鈴木農相の「減反維持」発言に見る農政の後退

2025年11月5日(水)17時00分
山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)*PRESIDENT Onlineからの転載

食料品の価格対策ならやることは消費税減税ではない

コメの場合は、関税で国内市場を輸入米から隔離しているうえ、減反政策によって、農家に補助金を与えてコメ生産を減少させ、市場で決まる価格より米価を高くしている。消費者の負担を軽減するためには、これを廃止しなければならない。

米価が低下して影響を受ける主業農家に対しては、アメリカやEUのように政府から直接支払いを交付すればよい。零細な兼業農家がコメ生産をやめて農地が主業農家に集積すれば、主業農家のコストが低下し収益が上がるので、農地の出し手である元兼業農家が受け取る地代収入も増加する。


消費者は減反廃止で米価が下がるうえ、上記の構造改革でさらに米価が下がるという利益を受ける。既に日本米と競合するカリフォルニア米の価格差は大きく縮小し、逆転する年もある。

減反廃止による米価低下で日本米の方がカリフォルニア米よりも安くなる。コメの作付面積の増加と減反で抑えられてきた単収の増加によって、1000万トンのコメを輸出すれば、これだけで小麦、大豆、トウモロコシ等の輸入に払っている1兆5000億円の輸入代金を上回る2兆円を稼ぐことができる。穀物の貿易収支は黒字化する。

国民は納税者として、減反補助金3500億円、米価維持のために毎年20万トン市場からコメを買い入れ隔離している備蓄政策に要する500億円、あわせて4000億円の負担が軽減される。主業農家への直接支払いは1500億円もあれば十分である。

日本維新の会の変節

ところが、国民経済的には極めてまっとうな政策が、JA農協という既得権者の反対によって実現できない。

日本維新の会は減反廃止を掲げてきた。しかし、連立を組むために自民党農政のコアである減反・高米価政策に手を触れられないと考えたのか、これまでの主張を撤回してしまったようだ。都市型政党としての役割放棄である。何度も減反廃止と直接支払いという農政改革の重要性を彼らにレクしていたのに残念である。

次の選挙で、大阪などの有権者から見放されるかもしれないという懸念はないのだろうか?

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