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40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年収アップはここで差がつく

2025年8月13日(水)18時04分
藤井孝一(経営コンサルタント)*PRESIDENT Onlineからの転載

「根回し」がヘタな40代は二流

私は、40代の転職もありだと考えていますが、その前に、いまいる職場でできる限りのことをすべきだとも思います。

いまの部署でやりたいことをできないのなら、他の部署に異動させてもらうのも手でしょう。転職をしなくても、地方の事業所に転勤するだけでかなり職場環境は変わります。


20代や30代は転職や起業も勢いでなんとかなりますが、40代はそうもいきません。転職や起業をして、いままで築いてきたものをすべてゼロにする前に、これまでの知識や経験やスキルを守りながら生き抜いていく方法を、いま一度よく探ることが先決ではないでしょうか。

そして、組織で生き抜くために重要なのが調整力や根回し力です。

これは20代や30代より、40代が優っている力でもあります。根回しは人脈のストックがものをいうので、職場や取引先に知り合いが大勢いる40代こそ有利なのです。

私も20代のころは報・連・相が苦手で、嫌いでした。「仕事で成果を出していれば、報告しなくても上司はわかってくれるだろう」と思っていました。

実際は、多忙な上司は自分の仕事だけを見ていてくれるわけではありません。

「あの案件、どうなった?」と尋ねられて、「順調に進んでいます」と伝えると、「こっちは気になっているんだから、ちゃんと報告しなさい」と釘を刺されたりしました。

あるときの会議で、私が作成した資料を見た役員の上司が顔色を変えました。

「なんだ、これ。こんな企画、オレは聞いてない」

事前に直属の上司には資料を見せ、会議で提案する承諾を得ていたのですが、その直属の上司がさらに上の上司に報告していなかったのです。

縛りからも自由になり、企画が通りやすくなる

私の失敗ではないのですが、事前に役員の上司に見せてくれたかどうか、直属の上司に確認しなかった私の詰めが甘かったのは事実です。

役員の上司は、「オレの知らないところで、こんな話を進めていたのか? どういうことだ!」と大激怒。いうまでもなく、その企画は通りませんでした。

このことから、組織で仕事をするには根回しや調整がいかに大事なのか、痛感しました。

40代ともなれば、組織内のパワーバランスをよく心得ています。「先にこの部署の部長に話を通しておくか」などの適切な判断、調整ができるでしょう。

こういった勘どころ、ツボを押さえながら仕事を進めるのも、守りながら攻める方法のひとつです。

20代や30代のころは、新しいことにチャレンジしようとしても「前例がない」「うちの会社に向いてない」となかなか自由にさせてもらえない時期を誰もが過ごします。

しかし40代になり実績が伴ってくると、その縛りからも自由になってきているのではないでしょうか。

上の意向も充分わかっているし、前もって外堀を埋めておくといった社内調整のやり方もわかっているでしょう。

保守的な上司が相手なら、たとえば一流企業とのコラボを提案して、「この会社にはこんな実績があるのでウチにも大きなメリットがありますよ」と強調すれば、企画が通りやすくなるかもしれません。

40代は正面突破を狙うのではなく、知恵を駆使し、迂回して目的地にたどりつく方法を取れるはずです。

「守り」は現状維持のために行なうものではありません。次の「攻め」を最大限に行なうためです。

守るだけではなにも生み出せませんが、守るべきものを守らなければ、攻めることも充分にはできないのです。

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