プラダを動かした、コルハプリ職人たちの声...「文化の盗用」か「世界的チャンス」か?
死につつある工芸技術
インドの高級品市場はまだ規模が小さく、同国内のプラダの直営店は皆無だ。同社の製品は通常ならば超富裕層向けで、例えば男性用サンダルの最低価格は844ドル。これに対してコルハプリは最も安い製品ならば12ドルで買える。
しかしプラダのブランドと、約7000人の職人がつくるコルハプリを結びつけることで商機が提供されている。
フェイスブックとインスタグラムに掲載された最新の広告の1つには「手作りのコルハプリがプラダのランウェイを闊歩(かっぽ)。限定在庫。世界的な注目。世界が賞賛する一品を手に入れよう」との文句が並んだ。
電子商取引サイトのニイラは「伝統に根ざす」コルハプリを最大50%オフで販売。創業者のニシャント・ラウト氏によると、ミラノのプラダの店頭に展示されている物に似た商品の売り上げが3倍になったという。
ラウト氏は「インドのコルハプリのブランド力が(世界的な人気サンダルブランドの)ビルケンシュトックぐらい大きくなれないはずはない」と言い切った。
インド政府は2021年、コルハプリの年間輸出額が10億ドルに達してもおかしくないとの見通しを示した。だが、業界は消費者がよりおしゃれで高級な商品に向かう傾向が強まる中で、厳しい状況に見舞われ続けてきた。コルハプリの名前の由来になった都市があるマハラシュトラ州の主要経済団体トップを務めるラリト・ガンジー氏からは「死につつある工芸技術」という言葉まで飛び出した。





