孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活のシナリオとは?

MASAYOSHI SON

2025年7月4日(金)16時45分
クレイ・チャンドラー(フォーチュン誌アジア担当編集長)

ソフトバンク東京本社の最上階にある孫のオフィスには、個人で収集した刀剣や鎧が飾られている。そして孫自身も、いざとなると戦国武将のような威光を放つ。東南アジアの配車アプリ最大手グラブの創業者アンソニー・タンは、14年に孫に呼び出されたときのことを鮮明に覚えている。

そのとき孫は単刀直入に言った。「私の金を受け取りたまえ。私にとっても、君にとっても良いことだ。受け取らないのは、君にとって良いことじゃないね」。もちろんタンはその金を受け取った。


シリコンバレーの新興企業のCEOたちは、なぜ足しげく孫の元へ通うのか。ウーバーCEOのダラ・コスロシャヒはその理由をこう説明する。「ソフトバンクの巨額の資本の大砲が自分に向けられるよりも、後ろから支援してほしいからだ」

孫の大砲は、ビジョン・ファンドでは不発に終わったかもしれない。しかし手際良く、もっと強力な砲弾を手に入れていた。16年に買収したイギリスの半導体設計会社アーム・ホールディングスだ。

ソフトバンクは同社をじっくり育て、23年9月に米ナスダックに上場させた。以来アームの株価は上がり続け、今や時価総額は1200億ドルに近い。おかげで今のソフトバンクはアーム株を担保に莫大な資金を調達できる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ブルガリアが来年1月ユーロ導入、換算レート決定 E

ワールド

中国、ドイツ軍機にレーザー照射 独外務省が非難

ワールド

ネパール・中国国境で洪水、数十人が行方不明 橋流出

ビジネス

台湾輸出額、2カ月連続で過去最高更新 米関税巡り需
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワールドの大統領人形が遂に「作り直し」に、比較写真にSNS爆笑
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国空母「山東」を見る香港人の心情やいかに
  • 4
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 5
    トランプ、日本に25%の関税...交渉期限は8月1日まで…
  • 6
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 7
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 8
    【クイズ】世界で最も売上が高い「キャラクタービジ…
  • 9
    トランプ税制改革の「壊滅的影響」...富裕層への減税…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 8
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 9
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中