孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活のシナリオとは?

MASAYOSHI SON

2025年7月4日(金)16時45分
クレイ・チャンドラー(フォーチュン誌アジア担当編集長)

20年のピーク時には、ソフトバンクの保有するアリババ株の価値は2000億ドル超に達し、ソフトバンクはその資産を担保に多くのベンチャー企業への投資資金を借り入れることができた。おかげで同社は、日本で高速インターネット通信網の普及を主導することができた。

06年にはイギリスの携帯電話会社ボーダフォンの日本法人を買収し、「ソフトバンクモバイル」に改称。これも成功し、気が付けばソフトバンクは日本有数の携帯電話事業者となっていた。


勢いに乗ったソフトバンクはアメリカの通信会社スプリントの株式の過半数を取得。その後スプリントをドイツ系のTモバイルと合併させ、アメリカ第3位の携帯電話キャリアを誕生させた。

戦国武将のような威圧感

この頃の孫は順風満帆だった。しかし17年に設立した世界最大規模(総額1000億ドル)の投資ファンド「ビジョン・ファンド」でつまずいた。サウジアラビアやアラブ首長国連邦から出資を受けて始動したのはいいが、多くの投資案件で多額の損失を出し、ついには孫自身もアリババ株を含むソフトバンクの保有資産の多くを手放さざるを得なくなった。

だが、こうした状況にあっても孫は狼狽した様子をほとんど見せなかった。高級住宅地である東京の麻布に豪邸を構える彼は、シリコンバレーを見下ろすカリフォルニア州ウッドサイドにも広大な邸宅を所有している。

12年頃に当時の住宅としては史上最高額の1億1700万ドルを投じて購入したものとされ、ソフトバンクの経営が傾きかけていた19年頃には、この邸宅を担保に個人として資金を調達していたという。

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