孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活のシナリオとは?

MASAYOSHI SON

2025年7月4日(金)16時45分
クレイ・チャンドラー(フォーチュン誌アジア担当編集長)

さらにソフトバンクには、この砲弾の使い道がある。例えばスターゲートには、出資予定額520億ドルのうち190億ドルを投じて株式の40%を取得する。また今年3月には65億ドルを投じて、AI用半導体の設計会社アンペア・コンピューティングを買収した。

次はAIインフラの拡充

それだけではない。ソフトバンクはさらにAI関連の投資を加速させるべく、金融機関と新たな借り入れの交渉を進めているようだ。


しかし前途には不安要素もある。ホワイトハウスでトランプに絶賛されてからわずか6日後の1月27日、中国の新興企業ディープシークが自社の開発したAIモデルについて発表。オープンAIの主要モデルと同等かそれ以上の性能を持ちながら、必要な記憶容量も消費電力もはるかに少ないAIモデルの登場は、世界中に衝撃を与えた。

しかも、ディープシークが開発に投じた資金は600万ドルに満たないという。本当なら、欧米勢がAI開発に投じている数十億ドルとは桁違いの安さだ。AIの分野でも、欧米企業は価格競争力で中国に負けてしまうのだろうか?

いや、真の問題は別にある。たとえAIモデルの開発費が下がったとしても、今後もAI需要が飛躍的に高まるとすれば、その運用には莫大な電力と膨大な数のデータセンターやハードウエア(つまりインフラ)が必要になる。オープンAIのアルトマンも、AIインフラの拡充は避けて通れぬ「運命」だと強調する。

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