最新記事
マネー

5年後に価格が倍のものも...ブランド品を「投資対象」として買うときに気を付けるべき4つのポイント

Fashion Investment

2024年2月3日(土)19時51分
ナオミ・ブレイスウェイト(英ノッティンガム・トレント大学准教授)
ファッション投資対象としてのディオールのサドルバッグ

『セックス・アンド・ザ・シティ』に登場したディオールのサドルバッグ HBOーEVERETT COLLECTION/AFLO

<ラグジュアリーブランドの価値を見極める美と経済のセンスを磨く>

デザイナーズブランドが売り上げを伸ばし、一方で持続可能な買い物への関心が高まっている今、より寿命の長いファッションへの投資について考える価値があるだろう。

ルイ・ヴィトンの売り上げは2019年から右肩上がりで、バーバリーはパンデミック後の1年間で86%増えた。「アスレジャー(アスレチック+レジャー)」関連のコラボレーションなど、ラグジュアリーファッションは以前より手に入りやすくなったが、まだまだ値段は高い。そこで、時間を超越する「投資アイテム」を見極める4つのポイントを見ていこう。

■リセールの価値

ファッションの投資対象は高価格の高級品が多く、その価格はここ10年で上昇している。例えば、シャネルのバッグは5年間で約2倍に。象徴的なミディアムフラップバッグは22年の7550ポンド(現在のレートで約142万円)から1年で8530ポンドに上がり、リセール市場で最も人気があるデザインの1つになっている。

エルメスのバーキンとケリーのバッグも間違いのない投資アイテムだ。平均小売価格は8237ポンド。リセール市場では2倍になることもある。

高級ファッションの委託販売サイトのベスティエール・コレクティブやネットオークション大手のeベイなどは、リセール価格を試算するのに便利だ。

■品質とスタイル

近年はブランドのロゴをあからさまに使うデザインから、よりシンプルで時代にとらわれない「静かなラグジュアリー」へと傾向が変わりつつある。ロロ・ピアーナのカシミヤのセーターは1700ポンドを超えるかもしれないが、その品質とクラシックなスタイルは、トレンドの移り変わりを超越した投資アイテムになるはずだ。

■ブランドの信頼性

時計や宝飾品、ハンドバッグは特に、伝統あるブランドが投資対象として好ましい。ロレックスの時計は希少性が高いモデルほど、購入後も評価額が高い。

バーバリーのアイコンであるトレンチコートは100年以上前からほとんどデザインが変わらず、ワードローブの投資として価値があると、ヴォーグ誌も太鼓判を押す。ただし、トレンドが変わると価値が下がりやすい最新モデルではなく、定番のデザインを選ぼう。

■セレブが愛用

セレブを起用した宣伝は、ブランド戦略として人気がある。英ポップスターのハリー・スタイルズが23年のツアー中に、アディダスとグッチがコラボした「ガゼル」のスニーカーを履いたら、売り上げが2倍に増えたという。もっともスニーカーのリセール市場にかつての活況はなく、今の投資対象としては微妙かもしれない。

セレブのお墨付きも万能ではない。ディオールのサドルバッグは1999年にドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』に登場しアイコンの地位を獲得したが、やがて輝きを失った。再び注目されたのは、18年に復刻されたときだ。

ファッションの価値は、必ずしも価格に左右されない。自分が購入した品に思い入れを持ち続けられることが、永続的な価値と使い捨てではない寿命を裏付ける。

The Conversation

Naomi Braithwaite, Associate Professor in Fashion Marketing and Branding, Nottingham Trent University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米印首脳が電話会談、関税導入後3回目 二国間関係な

ワールド

トルコ中銀が150bp利下げ、政策金利38% イン

ワールド

ウクライナ、米国に和平案の改訂版提示 領土問題の協

ビジネス

米新規失業保険申請、約4年半ぶり大幅増 季調要因の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中