最新記事
日本企業

ヤマハとカワイ...「日本製ピアノ」が世界の舞台で愛される理由とは?

A Musical Journey Through Time

2023年7月14日(金)14時50分
本間ひろむ(批評家)

230711p31_PRS_02.jpg

オルガンの修理をしている際に日本でも生産できると考え、日本楽器製造株式会社(現在のヤマハ)を創業した山葉寅楠 NO CREDIT

第2次大戦でドイツが敗戦国となりベーゼンドルファーやベヒシュタインといったドイツ・オーストリアのピアノメーカーが衰退したため、現在では世界中のほとんどのコンサートホールにスタインウェイが置かれるようになった。

このスタインウェイをロールモデルに、世界に躍り出ることを夢見たのがヤマハである。

日本に鍵盤楽器が入ってきたのは戦国時代。あのフランシスコ・ザビエルがピアノの前身楽器クラヴィコードを持ち込んだ。何のために? 讃美歌を歌うためだ。

日本でピアノが生まれた日

江戸時代に入ると、長崎・出島からピアノやオルガンが入ってきた。そして明治時代になると横浜や神戸の外国人居留地でピアノの音が響いた。

だが、全国の尋常小学校ではピアノより安価なオルガンが導入されていた。何のために? 文部省唱歌を歌うためだ。

そんなある日、静岡県・浜松の尋常小学校のオルガンが故障し、たまたま浜松で医療機器などを修理していたエンジニアの山葉寅楠(とらくす)に声がかかる。

山葉はオルガンのシンプルな構造を見てこれなら日本でも生産できると踏み、楽器を作る会社を起こした。その企業こそ、日本楽器製造(現在のヤマハ)だ。

程なくして、山葉は浜松にいた天才少年をスカウトする。何でも工夫してこしらえてしまう天才エンジニア、河合小市だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド

ビジネス

米、エアフォースワン暫定機の年内納入希望 L3ハリ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中