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「銀行らしさ」からどう脱却するか...堅い銀行でイノベーションを実現させた「みんなの銀行」に学ぶ

2023年6月6日(火)18時09分
flier編集部

──最後に、今後のビジョンについてお聞かせください。

まずは、ユーザーとお金とのつき合い方をフレンドリーなものにすることです。みんなの銀行が最初に打ち出したキャッチコピーは「お金のSNSの世界をめざす」というもの。それを具現化している事例の1つが、みんなの銀行の「レコード」のハッシュタグ機能です。銀行の通帳って何冊、何十冊と残している方もいると思いますが、これはお金の日記つまり「マネーログ」なんです。お金のログに、たとえば「飲み会代」「本代」「ランチ」などとハッシュタグをつけておく。そして気になるハッシュタグを検索したら、どれだけそこに使ってきたかが集計されて一目瞭然になる。こんな機能がお金を起点としたSNSのようなサービスの世界観になると考えています。

世界的にファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)が叫ばれています。これは、誰ひとり取り残されることなく金融サービスを利用でき、金融サービスの恩恵を受けられるようにするということです。ほとんどの人が銀行口座をもつ日本におけるインクルージョンとは、資産運用などに対する苦手意識や将来に対する不安が減って、お金との距離が縮まることではないかと考えています。資産運用にしても、「難しそう」という意識を「楽しそう」に変えられるようにしたい。みんなの銀行は、Z世代の人たちに「自分たちの銀行ができた」という感覚をもっていただきたいですし、そんな未来の銀行をめざして、サービスをブラッシュアップしていきたいですね。


株式会社みんなの銀行

日本初のデジタルバンクとして、2019年8月15日、ふくおかフィナンシャルグループが設立。2020年12月22日に銀行業営業免許を取得し、2021年1月4日に開業(銀行システム稼働開始)、同年5月28日にサービス提供を開始した。「みんなに価値あるつながりを。」をミッションに掲げ、新たな金融サービスの提供を目指す。2023年4月時点で「みんなの銀行アプリ」のダウンロード数は180万件を突破、みんなの銀行とゼロバンク・デザインファクトリーをあわせた従業員数は計200人(※派遣社員・常勤役員は除く)

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永吉健一

株式会社みんなの銀行 取締役頭取。1995年、福岡銀行入行。経営企画部門に在籍し、2007年、経営統合によるふくおかフィナンシャルグループの設立などに従事。2016年、企業内ベンチャーとして、ネオバンクを運営するiBankマーケティングを1万円で起業後、みんなの銀行の前身となるデジタルバンクプロジェクトをけん引し、2022年4月より現職。

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 執行役員

iBankマーケティング 株式会社 取締役 Founder

ゼロバンク・デザインファクトリー 株式会社 代表取締役

株式会社diffeasy 取締役

株式会社TAP 取締役

DIAGONAL RUN TOKYO/FUKUOKA/NAGASAKI チェアマン

事業構想大学院大学 客員教授

◇ ◇ ◇


flier編集部

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通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されており、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

このほか、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の運営など、フライヤーはビジネスパーソンの学びを応援しています。

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