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ANA、今期5000億円規模の最終赤字に 国際線は羽田に集約、25機以上を削減

2020年10月22日(木)10時18分

ANAホールディングスの2021年3月期連結純損益が5000億円規模の最終赤字になる見通しであることが分かった。2014年2月、東京の羽田空港で撮影(2020年 ロイター/Yuya Shino)

ANAホールディングス<9202.T>の2021年3月期連結純損益が5000億円規模の最終赤字になる見通しであることが21日、分かった。新型コロナウイルスの影響を受けた旅客需要の落ち込みで収入が大きく減少、さらに航空機の減損処理に伴い特別損失を計上する。

リーマン・ショック後の10年3月期に計上した573億円の赤字を大幅に上回り、過去最悪となる見通し。

事情に詳しい関係者によると、古くなった効率の悪い機材など25機以上を減らして固定費を圧縮し、20年4―9月期決算で減損処理する。

国内線の需要は政府の観光支援策などで回復の兆しがみられるものの、国際線は約9割の減便が続いている。運航しなくても機材は定期的な整備費用や駐機代などがかかり、財務基盤を圧迫している。コロナが再流行している国もあり、当面は国際線を中心とした旅客需要は戻らないとみて機材の削減を決めた。

国際線は羽田空港に集中し、成田、関西、中部の各空港は発着便の大多数を休止する。成田発着は約8割減らす。

ANAHDの片野坂真哉社長は7日付の社員に向けたメッセージで、国際線の「需要回復には数年かかる」と指摘。「需要に応じて羽田空港から順次復便し、成田空港の復便にはしばらく時間を要する。関西は一部路線を除き、当面運休とし、中部は当面の運休を継続する」などとの見通しを示し、事業規模を縮小する方針を伝えている。

ANAHD27日、公表を見送っていた21年3月期の連結業績予想を発表する予定。機材削減計画は、同時に発表する事業構造改革に盛り込む。同社は全日空のリース機や傘下の格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションのリース機材も含めて計300機を保有している。

(白木真紀 編集:久保信博)

[ロイター]


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