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菅義偉政権誕生で日本株は「買い」になるか? 海外投資家はアベノミクスのやり残した「第3の矢」実行を注視

2020年9月15日(火)16時43分

構造改革・ガバナンス改革の進展が鍵

衆議院の解散総選挙で菅氏率いる自民党が勝利し安定政権期待が高まれば、それが日本株買いの一つの呼び水となるとの見方もある。

「現時点では、改革志向の人とされる菅氏の改革への期待感がある一方、政権の長期安定性については見方が定まっていない。もし暫定政権ではないとなれば、改革実行への期待感が一段高まる可能性はある」とゴールドマンの建部氏は指摘する。

ただ、単にアベノミクスを「スガノミクス」に衣替えしただけでは長期目線のグローバル投資家を本格的に動かすのは難しい。金融緩和・財政出動・成長戦略というアベノミクスの3本の矢のうち、安倍政権時代に進まなかったとの批判が多い成長戦略・構造改革をいかに実行するかが、菅新首相に対する国際的なマーケットからの評価につながる。

オランダのヘッジファンド、ペラルゴス・キャピタルのマイケル・クレッチマー最高投資責任者は、政権交代や政治スケジュールを手掛かりに投資はしていないとした上で、「菅氏が首相としてコーポレートガバナンス改革を本気で進める意志を見せるかどうかを注視している。改革の進展は日本株の大きな押し上げ要因になる」と話している。

(植竹知子 編集:伊賀大記、田中志保)

[ロイター]


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