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コロナショック、4-6月GDPは年率27.8%のマイナス 戦後最悪の落ち込みを識者はこうみる

2020年8月17日(月)12時20分

みずほ総研 主任エコノミスト 酒井才介氏

民間最終消費支出はマイナス8.2%で、コンセンサス対比で弱い数字になっているが、それ以外はおおむね予測通りの結果だった。

今回のポイントは、やはり消費と輸出。国内では緊急事態宣言の発出で外出自粛ムードが高まったほか、海外ではロックダウンの広がりがあり、個人消費と輸出が大幅に減少した。この2点が4―6月期GDPの大幅マイナスの特徴。

設備投資は、減少率はそこまで大きくはないが、7―9月期以降にかけて、足元の企業収益の悪化や感染再拡大のリスクを受けて投資需要が低迷し、マイナスが続くだろう。

7―9月期のGDPは前期比年率2桁程度の伸びになると予測している。だが、7―9月が堅調に推移するというよりは、4―6月期の落ち込みに対しての伸び率なので、水準として良いというわけではない。

今後のリスク要因は、感染再拡大と米中対立の2点。感染のコントロールに失敗して、主要国で再びロックダウンが行われたり、国内で緊急事態宣言が出たりすれば、4―6月期並みに経済活動が停滞する可能性があり、秋以降回復するというシナリオは崩れる。

米中対立では、ハイテク製品で一部の製品を中心に輸出、輸入を制限するなどの動きがみられる可能性もあり、それが汎用品に広がるリスクも考えられる。そうした不確実性が高まれば投資需要が下振れ、設備投資、輸出の停滞につながる。サプライチェーンの調整を迫られるなど、日本企業への影響も出てくるだろう。

(浜田寛子)

[ロイター]


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