最新記事

アメリカ政治

トランプ、新型コロナで打撃受ける農家へ2兆円規模の支援策発表 直接給付など

2020年4月19日(日)16時04分

トランプ米大統領は17日、新型コロナウイルス流行で打撃を受ける国内農家を支援するため、190億ドル規模の緊急支援策を発表した。写真は16日撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

トランプ米大統領は17日、新型コロナウイルス流行で打撃を受ける国内農家を支援するため、190億ドル規模の緊急支援策を発表した。

このうち160億ドルを農家への直接給付に、30億ドルを食肉・乳製品・野菜などの買い上げに充てる。

農務省は地域の流通業者と提携し、買い上げた大量の農作物をフードバンクや教会、支援団体に提供する。

パーデュー農務長官はホワイトハウスでの記者会見で「多くの国民と同様、米国の農業も新型コロナで深刻な打撃を受けている。トランプ大統領はこの非常事態を全員が乗り越えられるよう、農家と全国民を支援している」と述べた。

農務省は毎月、生鮮食品、乳製品、肉製品をそれぞれ約1億ドルずつ購入する予定。これらの調達、包装、配給では食品流通大手シスコなどと提携するという。

米国では新型コロナ感染拡大に伴い経済活動が停止し、多くの国民が失業。フードバンクには食料を求める人の長い列ができている。

また、感染拡大の混乱で農家が畜産物や作物を市場に届けられず、廃棄せざるを得ない事例が相次ぐ中、政府に支援を求める声が上がっていた。

パーデュー長官は、生産者はかつてないほどの損失を抱えているとして、できるだけ迅速に直接給付を行うと説明。5月末までに小切手を送りたいとした。

上院農業歳出小委員会のホーベン委員長の声明によると、160億ドルの現金給付の内訳は、96億ドルが畜産農家に、残りは穀物や野菜などの生産者に支払われる。

給付上限は1個人・1団体当たり25万ドル。

パーデュー長官は、今回の直接給付が不十分だとする意見もあることを認めた上で、農務省は大規模農家と同様に小規模農家も支援するよう努めていると説明。また、追加資金が必要になるとも述べた。

緊急支援策の財源は、議会が先月承認した新型コロナ経済対策に盛り込まれた支援金などでまかなうという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?
・中国・武漢市、新型コロナウイルス死者数を大幅修正 50%増の3869人へ
・イタリア、新型コロナウイルス新規感染者は鈍化 死者なお高水準
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(17日現在)


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中