米FRBが0.25%追加利下げ 追加緩和の手掛かり示さず
金利見通し
今回新たに公表されたFRB当局者の金利・経済見通しで示された予測中央値は、金利が2020年を通して新たなレンジ内にとどまるというものだった。ただFRBに内在する見解の相違を反映し、政策当局者17人のうち7人は25bpの利下げが年内あと1回実施されるとの見通しを示す一方、5人は金利据え置きを予想。5人は年内に利上げが必要になるとの見方を示した。
こうしたタカ派とハト派の見解の相違は今回のFOMCでの決定にも反映され、セントルイス地区連銀のブラード総裁が50bpの利下げを主張した一方、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁とカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は利下げに反対。
パウエル議長は、金利の道筋を巡る観測と景気見通しについては「先行き不透明感が強い」と述べた。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は、「FRBは世界的な向かい風から米経済を守るために追加利下げを決定した」とし、「金利見通しの中央値が年内の追加利下げはないとの見通しを示すものだったことを踏まえると、今回のFOMCの結果はタカ派的な緩和だったと言える」と述べた。
金利市場では依然として25bpの利下げが年内にもう1回あると予想されている。
短期金融市場
FRBは米短期金融市場でFF金利の実効レートが今週、FRBの誘導目標を超えたことを受け、銀行の超過準備に適用する付利(IOER)を30bp引き下げ1.80%とすることも決定した。この結果、FF金利誘導目標の上限との差は15bpから20bpに拡大した。またレポ金利も1.70%と、FF金利の誘導目標下限を5bp下回る水準に設定した。
パウエル議長は、資金調達市場で見られた逼迫は予想よりも大きかったとの認識を示した。予想より「早い時期」にバランスシートの拡大を再開させる必要が出てくる可能性があると述べ、FRBが近く何らかの措置を決定する可能性があることを示唆した。
FRBが公表した当局者の景気見通しに大きな変更はなく、19年の成長率は2.2%になるとの見方が示された。失業率は20年を通して3.7%になるとの見通しが示されたほか、インフレ率は19年は1.5%、20年は1.9%と、FRBが目標とする2%を引き続き下回るとの予測が示された。
*内容を追加しました。


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