最新記事

旅行

「日本の宿泊業界は、今後爆発的に成長する」一棟貸し民泊の挑戦

2017年12月22日(金)19時35分
倉沢美左(東洋経済オンライン編集部記者)※東洋経済オンラインより転載

北海道・比羅夫にある3階建て、400平方メートルの物件。ベッドルームは6つあり、16人が宿泊できる。宿泊費は1泊21万3000円(写真:ホームアウェイ)

日本を訪れる外国人の数が増え続けている。日本政府観光局が発表した10月の訪日観光客数は、259万人と前年同月比21.5%増加。1~10月の累計は2379万人となり、このまま行けば今年中に3000万人に迫る見通しだ。

一方、取りざたされるのがホテルなど宿不足。加えて、リピート客が増える中で、宿泊スタイルの多様化も求められている。こうした中、政府は、来年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)を施行する予定で、一定基準を満たせば、誰でも民泊事業が行えるようになる。

この「民泊夜明け前」に目を付けて、事業を拡大しようとしているのが、米旅行サイト大手エクスペディアの子会社、HomeAway(ホームアウェイ)だ。2017年に日本でのサービスを本格化し始めた同社が得意とするのは、「バケーションレンタル」と呼ぶ「家一棟丸ごと貸し」。欧米では人気のある宿泊スタイルで、グループや家族など大人数での利用が多い。

日本では、民泊だとAirbnbの知名度が圧倒的に高いが、そもそもホテルや旅館といった宿泊施設以外に泊る習慣が浸透していない。こうした中、ホームアウェイが期待するのが外国人観光客の存在だ。来日したクリスティン・ノルト上級副社長と、アジア市場のマーケティング総責任者を務めるデュディス・デビッドソン氏に、日本市場のポテンシャルなどについて聞いた。

家ではなく、体験を提供したい

――日本ではすでに、Airbnbなどが進出していますが、このタイミングでサービスの強化を図る意味は。

クリスティン・ノルト(以下、ノルト):日本で民泊の規制緩和が進む中で、大きなチャンスを感じており、準備を始めたいと思っている。人々が日本に旅行する際、ホームアウェイがオプションの1つになることは大きい。サービス面だけでなく、マーケティングやサイトなども準備している。ホームアウェイにとっては、非常に大きな取り組みとなっている。米国の本社などからも、いろいろな人材が来て支援しているところだ。

――ホームアウェイとAirbnbの違いは何でしょうか。

ノルト:基本的には家族やグループ旅行を対象にしているので、ベッドルームが複数あるような一棟貸し物件が多い。農場や牧場、お城、ボートハウス、ツリーハウスなどユニークな物件もたくさんある。

私たちが目指しているのは、単に家を貸すことではなくて、家族やグループがその家でいろいろな体験をできること。多くの人は旅をするとき、「旅先」を重視するけれど、私たちはすばらしい旅先で、リアルかつすばらしい体験をしてほしいと思っている。

――日本でのサービス拡充で最も期待することは。/

ノルト:圧倒的な成長だ。それが期待できる理由は2つある。1つは、日本を訪れたい観光客が爆発的に増えていることがある。もう1つは、ホテル不足が指摘されていることで、私たちは迅速にその穴を埋められる存在になると考えている。日本への旅行需要は、日本国内やアジアだけでなく、欧州でも増している。

デュディス・デビッドソン(以下、デビッドソン):日本は今、間違いなく世界中でもっとも注目度が高まっている旅先の1つだ。2019年にはラグビーのワールドカップがあるし、その翌年には東京オリンピックがあるしで、世界中でいろんな人が日本の話をしている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中