最新記事

旅行

「日本の宿泊業界は、今後爆発的に成長する」一棟貸し民泊の挑戦

2017年12月22日(金)19時35分
倉沢美左(東洋経済オンライン編集部記者)※東洋経済オンラインより転載

toyokeizai171222-2.jpg

ベッドルーム3つ、8人が泊まれる京都にあるリノベ町屋。1泊3万3255円。(写真:ホームアウェイ)

新法は大きな追い風になる

デビッドソン:私自身は、シンガポールをベースに働いているのだが、シンガポールだけでなく、台湾や香港など、アジアの人々の多くが今一番行きたい場所として日本を挙げる。

しかも、シンガポール人の場合、3、4回訪れている人がいるほど、日本への旅行のリピート率は高い。初めて行く場合は、東京や京都を回るだけだが、回数を重ねるごとに日本をもっと「探索」したいと思うようになる。なぜなら、日本は探索すべき場所にあふれているからだ。

観光客の目的は食べ物だったり、自然だったりさまざま。今の時期だったら紅葉や雪を見たり、温泉に入ってみたいという人が多い。私のように暑い国に住んでいる人にとって、今の時期の日本は「暖かい服」を着るチャンスでもある(笑)。

――日本で旅行業をやる難しさはありますか。

ノルト:むしろ、新たな規制(来年6月に施行される住宅宿泊事業法)は、私たちにとってはチャンスになると考えている。新法はバケーションレンタルを正当化するだけでなく、市場を形成する役割を果たしてくれると思う。これによって、市場が一気に膨らむことが予想される。これまでは、グレーな部分が多かったが、新法は私たちが重点を置いている家のレンタルにとっては追い風だと考えている。

――日本では、瀬戸内沿岸7県と事業者が設立した観光促進を行う法人「せとうちDMO」と組んでいます

デビッドソン:せとうちを通じて、海外からの観光客を、これまで行ったことのないような場所に導き、滞在させたいと考えている。せとうちには、たくさんの伝統的な日本家屋があり、観光客は日本の地方でしかできないような、本当の日本の生活を体験できる。東京のような大きな街を飛び出して、地方でしか会えないような人に会ったり、食べられないものを食べられるようになるのは観光客にとってはうれしいことだ。

長期滞在者は肩肘をはらずに滞在したい

――日本に対する関心がそこまで高いとは・・・。

ノルト:口コミの威力が大きい。たとえば、今回私が知人たちに日本に行くという話をしたところ、4人から「去年日本に行って、とんでもなくすばらしい体験をした」「人生でベストな時間だった」とか、「来年行くから詳しく教えてほしい」など熱い反応があった。10年前だったら誰も食いつかなかっただろう。

デビッドソン:日本にいたら気が付かないだろう。日本には、ビックリするような大都市があるだけでなく、文化も多様で、地方に行けば美しい地形や風景に出会える。山があって、海や海岸があって、食事も最高だし......。たとえば、シンガポール人には美食家が多いが、日本に行くと伝えると、みんなが「あそこでこれを食べたほうがいい」と教えてくれる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特

ビジネス

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 1

ワールド

韓国、第2次補正予算案を19日に閣議上程へ 景気支

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中