最新記事

旅行

「日本の宿泊業界は、今後爆発的に成長する」一棟貸し民泊の挑戦

2017年12月22日(金)19時35分
倉沢美左(東洋経済オンライン編集部記者)※東洋経済オンラインより転載

toyokeizai171222-3.jpg

新法施行は、ホームアウェイの追い風になると話すノルト上級副社長(撮影:尾形文繁)

――外国人が日本に来る場合、最近ではどういったところに泊まってみたいと思っているのでしょうか。

ノルト:米国人の例で言うと、彼らは日本に来る場合、8~10日間くらいの日程を組んでくる。となると、1カ所にとどまることはないが、多くの人は「伝統的な日本の体験」を望んでいる。その中で、食べ物だったり、観光だったり、重視するポイントに分かれて旅を計画するという感じだ。いずれにしても、米国人の場合は、バケーションレンタルになじみがあるので、それぞれの場所で自分の求める旅行スタイルにあった宿に泊まりたいと考えている。

デビッドソン:家族やグループで旅行する場合は、ベッドルームがたくさんあったり、キッチンがついている宿に泊りたいというニーズが高い。特に子どもは食べ物が難しいので、キッチンがあるにこしたことはない。

また、家族にとっては、肩肘をはらずにゆっくりできるという意味でも、民泊需要は高い。10日間、しかもバケーションで滞在するとなると、どうしても「リラックスしたい」という気持ちが強くなる。となると、リビングルームやキッチン、複数のベッドルーム、と家と同じような宿が望ましくなる。また、大勢の場合、ホテルより安価だという点も大きい。

――となると、ホームアウェイを主に使うのは、訪日外国人ということになりますか。

ノルト:日本人の利用も見込んでおり、日本人に響くような戦略を目下展開しようと考えている。このほかにも、アジア向け、欧米向けとそれぞれ展開方法を考えている。

――現在、日本ではどれくらいの家がレンタル対象になっているのですか。

ノルト:約1万件だが、今後2年間で急速に増えるだろう。2020年までには、10万件に増やしたいと考えている。日本は、2020年までに観光客を現在の2倍である4000万人に増やしたいとしているが、宿不足は深刻な問題だ。ホームアウェイの場合、単なる泊まる場所にとどまらず、ユニークな体験ができるという強みがある。

「プリンセスマニア」のスゴい家

――そもそも、日本ではバケーションレンタルというコンセプトになじみが薄いですが、今後どうやってホームアウェイの認知を広げていきますか。

ノルト:いくつか方法はあると思う。たとえば、直接ホームアウェイのホームページを訪れて、借りたい家を探すこともできるし、私たちはエクスペディアグループでもあるので、エクスペディアを通じて、宿泊先を探すこともできる。このほかにも、今後新たなマーケティング策を通じて、日本人にとっての新しい旅の形について認知を広げていきたいと思う。

――日本では、せとうちDMOのほかに、楽天とも民泊物件の提供で手を組んでいます。仕入れを増やすには今後も提携が欠かせないと思いますが、提携先の条件は。

ノルト:つねに提携先を探しているが、数が多ければいいというわけではなく、(提携先の)数は少なくても深い付き合いをしたいと考えている。今後、地方を中心に事業を拡大するうえで、提携先を増やすことは欠かせないが、組む前にしっかりと相手のニーズを把握して、それを私たちが満たせるかどうか、互いのブランドがマッチするかどうかを重視したい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

企業向けサービス価格3月は2.3%上昇、年度は消費

ビジネス

スポティファイ、総利益10億ユーロ突破 販促抑制で

ビジネス

欧州委、中国のセキュリティー機器企業を調査 不正補

ビジネス

TikTok、簡易版のリスク評価報告書を欧州委に提
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中