最新記事

投資の基礎知識

今さら聞けない、円高になると日経平均が下がる理由

2017年2月20日(月)12時13分
高野 譲 ※株の窓口より転載

■基幹産業の構造的要因

日経平均を構成する225銘柄は、東証1部上場銘柄のなかから「流動性の高い銘柄」を中心に選出されています。つまり取引(売買)が活発に行われている、日本を代表する企業ばかりと言えます。最近はインバウンド効果で観光・サービス業も好調ですが、現在の構成銘柄を見ると、日本の基幹産業が、まだ自動車関連を筆頭とした製造業だということがわかります。

(参考記事)「時価総額」から見えてくる意外な事実 プロは常にここを意識している

ここで「まだ」という表現を使ったのは、今後の「変化」を考えるためです。稼ぎ頭となる産業が変化すれば、日経平均の構成銘柄も、それに合わせて変化することになるでしょう。その比率によっては、為替相場に対する日経平均の反応の仕方も変わってくることが考えられます。

「円高で株安」という病は、産業の変革によって治るかもしれないし、極度な輸出依存に陥れば、さらに悪化することも考えられるのです。

外国人投資家の「売り」もある

もうひとつ、「円高が外国人投資家の『売り』を呼ぶ」という点についても、少し解説しておきたいと思います。

円高・ドル安になるほど、外国人投資家が保有する株式に利益確定の注文が入ります。基軸通貨であるドルは投資の世界でも一般的で、外国人投資家の大半は、自分の証券口座にドルを入れて商いをしています(ドル建て)。ということは彼らは、日本株についてもドルに換算した値で見ているわけです。

日本の株式市場では株価が動いていない状態でも、為替が円高・ドル安に動けば、ドル建てで見た株価は上がります。つまり「為替差益」が発生するのです。利益確定をするために日本株を売る外国人投資家は少なくないでしょう。株式の値下がり分を為替差益によって補填しているとも言えます。

外国人投資家によるこうした売りが出ることも、結果的に日経平均を下げる一因となります。

まとめ

円高と日経平均の関係をシンプルにまとめると、次のようになります。

円高によって業績の悪化が懸念される輸出企業の銘柄が売られる
→ 輸出銘柄に影響を受けやすい日経平均株価が下落する

いま自分が保有(投資)している銘柄や気になる銘柄を並べたリストがあれば、ぜひ業種別に並び替えて、輸出銘柄と輸入銘柄に分けてみてください。為替相場が円高に大きく振れたとき、自動車や精密機器がどう売られ、対して輸入企業である食品や医薬品はどう動くのか。投資マネーが輸出から輸入へシフトする様子をリアルタイムで見られるかもしれません。

[筆者]
高野 譲[たかの・ゆずる]
株式・先物・FX投資家、個人投資家8年と証券ディーラー8年の経歴を持つ。現在は独立し、投資関連事業を法人化、アジアインベスターズ代表。著書に『図解 株式投資のカラクリ』『株式ディーラーのぶっちゃけ話』(いずれも彩図社)がある。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国自動車販売、26年は1%増 汽車工業協会予想

ビジネス

パキスタン、トランプ一族企業とステーブルコイン決済

ビジネス

BP、第4四半期に最大50億ドルの減損へ 主にエネ

ワールド

中ロ貿易、25年は5年ぶり減少 輸出入とも前年割れ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 10
    「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中