最新記事

イラン市場

アップルなど欧米企業がイラン市場に先鞭

イランは「世界に残った最後の巨大未開拓市場」。欧米の制裁解除を待って参入したい企業が続々

2014年10月30日(木)16時49分
ルーク・ビラパズ

明日のテヘラン? ベルリンのアップルストアでiPhone6を手にする顧客 Hannibal-Reuters

 イランのユーザーも近い将来iPhoneを手にできそうだ。アップルは欧米諸国による対イラン経済制裁の緩和を待ってイラン市場に参入するため、現地の企業と交渉に入っていると、複数の関係者が明かした。

 欧米諸国とイランの関係改善の兆しが見える中、イラン進出に向けてと駒を進める企業はアップルだけではない。今月中旬にロンドンで開催された「第1回ヨーロッパ・イラン・フォーラム」には、ヨーロッパ企業の経営陣が多数参加し、制裁解除後の投資と取引に関するセミナーは大盛況だった。

「イランは世界に残された最後の巨大な未開拓の新興市場だ」と、イランに本拠を置く投資会社ターコイズ・パートナーズの幹部ラミン・ラビは英メディアに語っている。オバマ政権はISIS(自称イスラム国、別名ISIL)対応でイラン政府に協力を打診しており、イランの出方次第では関係改善に弾みがつきそうだ。

 米企業はすでに本格的な取引再開に向けて小手調べを行っている。航空機・兵器大手のボーイングが先週発表した第3四半期(7〜9月期)の納入実績には、イラン航空への飛行マニュアル、データ、航空図の売却が記載されている。ボーイングがイラン航空と取引を行ったのはイランの米大使館人質事件が起きた79年以来初めてのことだ。パソコンメーカーのデルも制裁が解除され次第、イラン市場で販売を開始するために現地の業者と交渉を行っている模様だ。

 アップルは多くの国で直営店のアップルストアを展開し、ユーザーに直接サービスを提供する戦略をとってきた。だがイランでは独占販売契約を結んだ現地企業にほぼ販売を任せることになりそうだ。アップルがイラン市場参入に向けて動き出したのは昨年5月以降。オバマ政権がソーシャルメディアを通じた民主化運動を支援するため、携帯電話やノートパソコンなど消費者向け電子機器のイランへの輸出にゴーサインを出してからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中