最新記事

セキュリティー

新型iPhoneの指紋認証に不安あり

上位機種5sに搭載された指紋認証機能は、ユーザーにとって頭痛の種になりかねない

2013年9月30日(月)19時38分
ウィンストン・ロス

思わぬリスク 一度指紋を盗まれたら、自分ではないと証明するのは難しい George Frey-Reuters

 ついに店頭販売が始まった新型iPhone。上位機種の5sには、指紋認証機能が搭載されている。アップルのダン・リッチオ上級副社長は、製品紹介ビデオでこう宣言した。「指紋は世界最高のパスワードの1つだ。いつもユーザーと一緒で、まったく同じものは2つない」

 だが実際には、指紋認証は頭痛の種になりかねないと、セキュリティー会社ネオハプシスラブスのジーン・メルツァーは言う。理由は変更が不可能だからだ。「指は全部で10本しかない。つまり、正式なユーザーでも最大で10回しか認証できない。もし指紋のデータがすべて破損したら二度と認証できなくなる」

 それに私たちは毎日、至る所に指紋を残す。もしあなたが脂の浮いた指で握ったソーダの缶に誰かがテープを貼り、それをはがし、スキャナーで読み取ったとしたら? 認証センサーをだましてあなたに成り済ますことができる。

パスワードのほうが安心

 これに対して、パスワードはユーザーの頭の中にしか残っていない(本来そうすべきだ)。パスワードをトイレの便座や、車のハンドルなど、あちこちに貼り付けることはない。たとえ誰かが肩越しにパスワードを盗み見ても心配は要らない。文字列を変更すればいいだけだ。

 もし誰かが指紋を盗み、それを使って不正に買い物をしたら、「自分ではないと証明するのは極めて困難だ。何しろ使われたのは、あなたの指紋なのだから」と、エレクトロニック・フロンティア財団の法務担当者ジェニファー・リンチは言う。

 アップルによれば、指紋認証機能を利用する場合、バックアップ用のパスワードと組み合わせて使わなければならない。5sを再起動するときや2日間ロックが掛かったままになっていたときは、このパスワードの入力が必要になる。

 ユーザーの脇が甘ければ、指紋認証でセキュリティーが高まることはない。リンチによれば、「多くのiPhoneユーザーは端末をロックするパスワードの設定をしていない」。

 つまり、指紋認証機能は必ずパスワードと組み合わせて使う必要がある。ワンタッチでロックが解除できるので、犯罪者以外のユーザーにとっては便利なシステムだが。

[2013年10月 1日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ラガルドECB総裁、任期満了が「基本方針」 WSJ

ビジネス

トランプ緊急関税、最高裁が違法判決なら1750億ド

ワールド

日ロ関係はゼロに低下、平和への対話進行していない=

ビジネス

金価格が上昇、米イラン緊張と欧州債券利回り低下で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中