最新記事

食品

欧州の馬肉混入騒動がネスレに飛び火

ヨーロッパにとっては一大スキャンダルの馬肉混入で製品回収は広がる一方

2013年2月20日(水)17時35分
アレクサンダー・ベサント、ポール・エイムズ

重過失品? スペインのバルセロナの店頭から撤去されたネスレのパスタ製品「ビーフ・ラビオリ」 Gustau Nacarino-Reuters

 ヨーロッパで広がる牛肉食品への馬肉混入スキャンダル。ついにスイスの食品大手ネスレも巻き込まれることになった。

 ネスレはフランスやイタリア、スペインの店舗から、牛肉を使用したパスタ製品を回収することを発表した。馬肉の混入を示すDNAが検出されたためだ。

 18日の発表によると、同社は馬肉の混入元と見られているドイツの納入業者H・J・シュプカ(ベルギーの供給元であるJBSトレドNV社の下請け業者)からの供給を停止。回収商品である「ビーフ・トルテリーニ」と「ビーフ・ラビオリ」については、100%牛肉であることが確認された商品に入れ替えると言う。フランスで販売されているラザニア製品の一部も回収の対象になった。

「今回発見された混入レベルは、イギリスの食品規準庁が食品表示上の粗悪品あるいは重過失品と定めている1%以上に達していた」と、ネスレはコメントした。「食の安全に関わる問題ではないが、製品の不正表示に当たる。これらの製品では、わが社の品質に対する消費者の高い期待に応えられないと判断した」

経済危機で加工食品人気

 先月アイルランドで発覚し、ヨーロッパ中に広がった馬肉混入騒動だが、各国のスーパーマーケットでは牛肉冷凍食品の撤去が進み、沈静化する気配すら見えない。ドイツのディスカウントスーパー大手のリドルも18日、馬肉混入が見つかったとしてフィンランドとデンマーク、スウェーデンの店舗から牛肉製品を回収した。

 食品問題の専門家は、今回の馬肉騒動で不安を高める消費者にこうアドバイスする――不正表示の食品を口にするリスクを避けたければ、生鮮品の肉を買って自分で料理をすること――。だがそう簡単な問題ではなさそうだ。経済危機のあおりを受けて、安価で手軽な冷凍食品の売り上げは伸びる一方だったのだから。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=

ビジネス

EUの炭素国境調整措置、自動車部品や冷蔵庫などに拡

ビジネス

EU、自動車業界の圧力でエンジン車禁止を緩和へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中